システムトレードの要素

MDRさん
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前回までのコラムで、システムトレードはなぜ利益をあげることができるのか、本当にシステムトレードで利益をあげるためにはどうしたら良いのかについて解説してきました。今回のコラムから、具体的なトレードシステムを構成するための考え方や方法について書いていきたいと思います。

システムトレードの最も基本的な要素は売買ルールです。これがなければシステムトレードとは言えません。通常の株取引では実際の売買を行う時に目標の利益を決めることになりますが、システムトレードにおいては売買の前、売買ルールを決める段階で目指す利益、それを得るためのトレード期間、許容リスクなどについて決ることとなります。この目標設定はとても重要で、ただ漫然とルール構築をしてもどれが自分にとって最もいいシステムなのか判断することができません。

目標を設定したら次は売買ルールを構築することになります。ルールは大きく分けて買うときの条件と売るときの条件に分けられます。重要なのはどのようなシグナルの出方をしても、人間が考えずにシステムで判断ができるよう、条件を設定する必要があるということです。単純に株価が○○になったら買い、○○になったら売る、という条件だけではシステムに売買判断をつけられないケースが出てきてしまいます。具体的には複数の買いサインが出たとき、それぞれの銘柄に対してどのくらい資金を割り振るか、といった部分を決めておかないと、実際のトレードで使えるシステムにはなりません。

ルールを決めたら、次はそのルールが自分の立てた目標にマッチするのかテストを行うことになります。これは過去の一定期間において自分の決めたルールを仮想的に運用してみて、どのようなパフォーマンスを発揮するのか検証する、という作業になります。見方を変えれば自分が決めたルールに従って売買を行った場合に、過去の相場で一取引あたりの期待値がどのくらいになるのか統計を取る作業でもあります。この作業をすることによってはじめてその売買ルールが持つ期待値を知ることができ、利益の根拠をもって投資を行うことができるようになるのです。

テスト結果の分析で重要なのは期待値だけではありません。一定期間で実際に得られる利益は、期待値×売買回数で決まります。また、一言で期待値と言っても、それがどのような取引の結果得られるものであるかも重要です。詳しくは別のコラムで書きたいと思いますが、期待値は勝率と勝ち取引の利益、負け取引の損失という三つの要素から求めることができます。最終的には同じ利益率であっても、勝ちが多いシステムなのか、たくさん負けるけれども勝つときは大きくかつシステムなのかで実際の運用のしやすさは大きく変わります。システムを構築するときにはこのような点にも注意を払う必要があるでしょう。
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