[東京 4日 ロイター] トヨタ自動車(7203.T: 株価, ニュース, レポート)は4日、2011年3月期の連結営業利益(米国会計基準)予想を前年比2.2倍の3300億円に上方修正すると発表した。従来予想の2800億円の黒字に比べ、17.8%の上方修正となる。
為替変動の影響として1200億円のマイナスを想定したが、営業努力などで2100億円の増益効果が生まれると計画した。営業利益見通しはトムソン・ロイター・エスティメーツによる主要アナリスト21人の予測平均値5265億円を37.3%下回っている。
10年4―6月連結営業損益は前年の1948億円の赤字から2116億円の黒字に転換。通期予想に対する進ちょく率は64.1%となった。
増益には通期の連結販売台数の増加も寄与する。従来予想に比べて9万台増の738万台に上方修正した。地域別の内訳は、日本が期初予想比5万台増の197万台、北米が同4万台増の217万台、アジアが同6万台増の115万台、その他地域が同3万台増の132万台。一方、欧州は同9万台減の77万台と下方修正した。販売が738万台で営業利益が3300億円の水準になることについて、会見した伊地知隆彦専務は「損益分岐点を下げることに注力してきた。一昨年来の700万台でブレークイーブンという目標をほぼ達成できた」と語った。
通期の為替レート前提は、ドル/円は90円として従来予想を維持したが、ユーロ/円は112円として、期初予想よりも13円の円高とした。7月以降のユーロ/円は110円を想定している。円高傾向に対応するため「基本的には売れるところでしっかりつくっていくという考え方で進めている」とコメントした。
売上高予想は19兆2000億円から19兆5000億円に、当期利益予想は3100億円から3400億円にそれぞれ引き上げた。修正幅がこの水準になったことについて、伊地知専務は「下期は新車購入補助金の打ち切りで国内販売に反動減が見込まれるほか、円高や欧米の景気動向が不透明」と説明した。
世界販売台数の地域別の見通しについて、北米は「3、4月は各社のインセンティブで膨らんだが5、6月で落ち込んだ。ところが7月に入って年率1200万台の市場になった。市場もしぼんでいかない力強さがある」と述べた。アジア市場については「タイとインドネシアは好調。しばらくは活況が続くだろう」と期待を込め、欧州については「ドイツのインセンティブ終了による反動減やギリシャ発の金融不安もあり、市場が弱い。販売刺激策も出てくるだろうが厳しい状況が続く」と語った。
第1・四半期の連結販売台数(ダイハツ工業(7262.T: 株価, ニュース, レポート)、日野自動車(7205.T: 株価, ニュース, レポート)を含む)は、前年同期比29.9%増の182万台となった。国内はエコカー減税など政府の販売支援策が奏功しハイブリッド車(HV)「プリウス」の販売が堅調に推移。同22.8%増の50万台だった。北米は一連のリコール(回収・無償修理)問題があったが、前年同期比35.9%増だった。中国を含むアジアは同46.9%増、中近東、中南米でも伸長した。一方、欧州は苦戦。新車買い替え補助金制度を打ち切ったドイツなどで減少した。
今回の決算について、いちよし投資顧問・運用部長の秋野充成氏は「北米の景気減速がどうなるのかを一番慎重に見ているのではないか。4─6月期の決算は良かったが通期予想はコンセンサスより上方修正の幅が小さかったので、会社側としては先行きを慎重にみているのだろう。市場は保守的な数字が出てくるとある程度想定していたので、決算全体が株価に与える影響はニュートラルだとみている。明日以降の株価は為替次第だろう」とコメントした。
コスモ証券・投資情報部副部長の清水美三津雄氏も「あすの市場の評価は為替次第」とした上で、「全体相場は実需筋が様子見姿勢を強めるなかアルゴリズム取引を使った為替連動の短期筋が取引の中心となっている。通期予想は市場コンセンサスを下回ったが、保守的な見通しで上方修正余地があるとも受け止めることができる。円安方向に振れれば、短期筋の買い戻しが入るほか、業績の上積み期待も強くなるため、実需筋の買いも誘うことになろう。株価は株価純資産倍率(PBR)で1倍割れの水準であり、為替さえ円安に振れれば割安感に着目した買いが期待できる」と語った。
ロイター引用です。
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