村上龍の小説で目を閉じたときに網膜に浮かぶ画像というか、
映像を絵にしている登場人物が出てくる。
目を閉じて太陽の方向に顔を向けたりとか、
強く目を閉じると浮かび上がる
暗闇の中の緑っぽい光なのか何なのか、そういう映像だ。
その小説の事を思い出したのは成田に向かうバスの中で
このところ真の暗闇で寝ていないな、
という事を思い出したのとほとんど同時で、
再度思い出したのは成田のラウンジだった。
航空会社の所有するラウンジの中は一種独特な雰囲気がある。
私ステータスがあるのよ、というオーラをとにかく不躾に出している女や、
どことなく散漫か人を見下す態度の人間、
マイレージ・マイライフという映画はそのあたりとてもうまく表現している
と思いませんか?
と隣の男が話しかけてくる。気がつくと暗闇に浮かび上がる映像と、
同時に暗闇で寝ていない事を話していて、
暗闇ならそこここにありますよ
と男が言い、私が何か違和感を感じた瞬間ほら、
と言いながら空間を指差し円を描いた。
その円が平面の漆黒の闇になり少しづつ広がり始めて
周辺から奥行きの全く分からない空間を作り始める。
いや、暗闇で寝ていないっていうのは、
単純に部屋のカーテンの遮光率が低いんですよ。
透過率が高い、というか。
昔、小岩にある、かつて日本旅館だった家で
良く友達と集まったんです。そこの家は雨戸を閉めていたのか
あるいは遮光率の高い障子ですね、
まあそんなものがあるとすればなんですけど、
とにかく電気を消すと本当の闇でした。
始発の総武線が動き始めるのが外の音でわかるんですけどね。
そう私が言うと、ふむ、と男はうなずき