<株価は、なお上値の余地があると予想>
株価は、本年1月中旬に10/3期の営業利益見通しを大幅下方修正した直後の安値から、足元まで約5割高となっている。2月から鋼材価格が上昇に転じてスプレッド(鋼材価格と鉄スクラップ価格との差)が改善していることや、アジア向け鋼材の輸出環境が好転していることが上昇の背景。株価が短期間で高騰したため若干もたつく局面もあろうが、なお上値余地があると考える。記録的に低迷していたH形鋼等の建設の鋼材需要が足元回復に転じていることに加えて、当面はアジアでの自動車・家電向けの薄板の輸出実績作りとなろうが、田原工場(薄板専用)本格稼動による収益拡大期待が株価に徐々に織り込まれる展開を予想。
<減価償却方法変更の影響も大きい>
建設用鋼材の需要低迷とスプレッド縮小で10/3期は8期振りの営業赤字となったが、11/3期は黒字に転換する見通し。鋼材販売数量が増加(10/3期比64%増の280万トンの予想)し、スプレッドも若干改善すると予想。11/3期より減価償却の方法を定率法から定額法へ変更する影響も大きい。田原工場の稼動により、従来の定率法では11/3期の減価償却費を275億円程度(10/3期比約130億円増)と予想していたが、定額法の変更により11/3期の減価償却費は10/3期並みの145億円程度に止まる見通し。(佐藤 謙三)
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