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藁のハンドルと熟練工の落とし穴
ヘンリー・フォードの「藁のハンドル」(中公文庫)を読み始めました。金融と実体経済は車の両輪で、うまくバランスがとれていないといけない。しかし、2008年の世界金融危機は、金融の行き過ぎに警鐘を鳴らすものと言えます。ヘンリー・フォードがこの本、原題は、Today and Tomorrow、ですが、1926年に書かれたものです。GMがおかしくなっても、フォードがなんとか今回の危機を乗り越えることができたのは、フォードの経営陣や従業員は基本的に車大好きのカルチャーが根強く残っているからだという説を聞いたことがあります。「藁のハンドル」に書いてあることがフォードの精神であり、その精神が今も、フォード社に議決権が大量に付与された特殊株式がフォード家関係者に保有されていることも手伝って、堅持されているのかもしれません。
現在の日本経済のリバランスや過剰金融資本主義のリバランスにとっても非常に示唆に富むメッセージがこの本にはたくさん書かれています。いずれ、ポイントを整理したいと思いますが、第二章の初めに出てくる「伝統の壁を打ち破る」という文章の中で、フォード氏は、新しい仕事を始める時には、その仕事に先入観がない人々に指揮をまかせるようにしていると書いています。熟練工やその仕事に熟練した人に指揮をまかせると、「できないこと」をあまりにも多く知りすぎているため、「やってみよう」ということにならない、というのです。日本企業のトップ経営陣は、熟練工や熟練の職人によってほとんど占められているという状況は長い間変わっていないように思います。その事業を知らないので社外取締役は役に立たない、などという意見がよく聞かれますが、日本の企業人は、「熟練工の落とし穴」にどっぷりはまってしまっているのではないでしょうか。
この「熟練工の落とし穴」を回避する手段の一つを株式市場が提供しうると思います。
まだこの本を読み終えていないのですが、非常に面白いし、考えさせられるので、ちょっと感想を書いてみました。とりえあず、今日のここまで。
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