裁判員裁判初日の審理終了 ~ NHK 新潟 ~
裁判員が参加する県内で初めての裁判が新潟地方裁判所で始まり、6人の裁判員が覚せい剤の密輸事件の審理に臨みました。
裁判員が検察側の証人の捜査関係者の証言を聞き、この中で裁判員の1人が初めて法廷で質問しました。
裁判は新潟地方裁判所で、16日午前9時40分に始まり、男性4人と女性2人の裁判員が、3人の裁判官といっしょに審理に臨みました。
裁判員が審理しているのは、ロシア人の船員、ロマノフ・オレグ被告(42)がほかの2人のロシア人と共謀して、去年7月、4、7キロ、末端の密売価格でおよそ4億円の覚せい剤をロシアから聖籠町に到着した貨物船で営利目的で密輸したとして、覚せい剤取締法違反などの罪に問われている事件です。
被告の男は、裁判員に対して「ほかの2人と共謀しておらず、このうちの1人から荷物を運ぶよう頼まれたが、中身が覚せい剤とは知らなかった」と無罪を主張しました。
そして、検察官と弁護士がそれぞれの立場から事件の詳しいいきさつを裁判員に説明しました。
検察官は事件の概要や主張をモニターを使って説明し、「被告は覚せい剤を黒い袋に包んだうえ、買った掃除機の箱に入れて国内に持ち込んでいることなどから、中身が覚せい剤であることを知っていた」と主張しました。
一方、弁護士はボードやパネルに主張のポイントを示し、「被告は医薬品と言われて荷物を預かっており、中身が覚せい剤とは知らなかった」と反論しました。
この後、裁判員は押収された覚せい剤や覚せい剤が見つかった時の状況を再現した模型などの証拠を目にしました。
裁判員は真剣な表情で時折、メモを取りながら、検察官や弁護士の説明を聞いていました。
また、捜査にあたった海上保安本部の海上保安官が検察側の証人として覚せい剤を発見した時の状況などについて証言しました。
この中で男性の裁判員が「事件の当日、被告の共犯としていっしょに逮捕されたロシア人の男の所持品は何かありましたか」と尋ねると、海上保安官は、「着替えなどが入ったボストンバッグや財布などもありました」と答えました。
続いて、「高額なお金は持っていなかったか」とか、「バッグの中身はいっぱいだったのか」と質問すると、海上保安官は、「高額なお金は持っておらず、バッグは80センチぐらいの大きさで中身はいっぱいではなく、少し荷物が入るぐらいだった」と答えました。
初日の審理は午後4時半に終わり、17日は裁判員が検察側の証人として税関の職員と海上保安官のあわせて2人の証言を聞きます。
裁判員裁判は新潟で始まったことで、全国すべての裁判所で開かれたことになります。