はんちくさんのブログ

最新一覧へ

« 前へ644件目 / 全686件次へ »
ブログ

落合采配に学ぶ ~鉄のルール~

 先日の中日ドラゴンズ日本一決定の日、落合は、8回までパーフェクトピッチングの山井を降ろし、9回に岩瀬を送った。世間では、「完全試合の可能性があるのに、何故・・。」という意見が多数だったようだ。試合は見れなかったが、後でその話を聞いたとき僕は鳥肌が立った。
 「やはり落合は、並の人間じゃない。」
 
 山井の交代は、二つの利益をもたらしている。

・8回まで完全試合をしていたのに降板させられた投手として、山井は記憶にも記録にも残る。

・山井続投よりも、岩瀬を送ることによって、チームの勝利の確率を上げる。

 仮定の話になるが、もし山井が9回に1安打を浴びるものの、完投して日本一になったとしよう。「惜しかった」だけで、何の記憶にも残らないし、記事にもならない。完全試合達成も可能性はあるが、それには、上記2つの損失を賭けなければならない。
 8回での決断には、「山井の名声」「チームの勝率アップ」の二つの利益確定が行われた。

 ここで間違えてはいけないのは、落合は、山井が打たれて負けるリスクを逃げたのではない。自分にもっと重いリスクを課したということだ。

・岩瀬が崩れた場合のリスク

である。
 並の人間であれば、あそこで山井を降板させられない。あのまま続投させて、もし山井が打たれて負けても「あの続投は仕方がなかった」の論調になり、落合はほとんど叩かれないだろう。
 逆に岩瀬が打たれた場合「非情采配、裏目」だの、「策に溺れる」だのの見出しで新聞が埋め尽くされ、監督非難で論調が渦巻くに違いない。落合にとって、最も安全な選択は「山井続投」だ。それを十分知った上で、敢えて「僅差は岩瀬」の鉄のルールに従ったのだ。非情でも何でもなく、山井にとってもチームにとっても利益になる、監督として最も懸命な決断だったと僕は思う。

(後日談では、山井がいっぱいいっぱいで、交代の直訴があったとか。でも、僕は敢えて落合の鉄の意志によるものだと思いたい。そのほうが夢がある。谷沢健一が、朝の番組で「落合は監督の器じゃない」だの言っていたが、そんなこと言ってるから、指導者の口が回ってこないんだと思う。)

 株取引でも、「あそこでの保留は仕方がなかった」で済む場面もあろう。ただ、それが自らのルールに反することであれば、避けるべきなのかもしれない。
 一応自分の中にもルールはあるが、それを破ってしまうことが多い。自らのルールを破って、良い方に転んだことはほとんどない。そのほとんどが損失拡大に結びつく。利益確定においてもそうで、目標以上を追いかけて、利益を減らしてしまう。「もしかしたら戻すかも・・」という期待に賭けるのは、疲労している山井を9回のマウンドに送ることと同じで、決断ではなく妥協である。

 こうやって書いてもやっぱりできないのかな・・・。だって俺は凡人だもーーん。

 落合の話は是非今後の教訓としていきたい。
2件のコメントがあります
  • イメージ
    ぎっくりさん
    2007/11/3 18:50
     はんちくさん はじめまして!

     私も落合監督の取った行動こそ責任者として偉大だと
     思いますね~。どこぞのスポーツライターとかいう輩も落合監督に
     ついて似たようなこといってましたがあそこでもし温情
     采配し中日が負けていたら優勝できなかった可能性が
     高くなるわけで、それを防ぎ確実に結果を出すための決断
     をした勇者を"小心"などとけなす権利は外野にはない。

     "試合はテレビの前で行われているんじゃない球場で
      行われているんだ!"と落合監督は言いたいだろう。
     結局プロは結果が全て!
     改めていいたい"中日ドラゴンズ日本一おめでとう"と。

     私も仕事では落合監督を見習いたいと思いますが
     株は仕事ではないのでもう少し優雅にやりたいかな(笑)
     
  • イメージ
    はんちくさん
    2007/11/3 21:42
    はんちくさん (9.14point)

    >ぎっくりさん
     はじめまして。コメントありがとう

     小心とか言ってましたか。むしろ逆です。最も確実で最もリスキーな選択だったと思います。小心者は、「代えられないよな・・。続投させるしかないしな・・・。打たれても俺は責められないだろう・・・。」という選択をするでしょう。
     あれは、「岩瀬が打たれれば、全て俺の責任だ」という、最も勇気ある決断だったと思います。

     もちろん、温情による続投の選択肢はあります。それも「正」です。ただ、あの降板も「正」です。落合博満にしかできない決断だと思います。あの決断の裏も読めずに、ただ批判するのは単細胞ですね。

     >株は仕事ではないのでもう少し優雅にやりたいかな

     そうですねw 僕も半ば趣味ですが、着実に利益をあげたいことも確かです。「決断か、妥協か」をしっかりと自分の中で分けられるようになりたいものです。
コメントを書く
コメントを投稿するには、ログイン(無料会員登録)が必要です。