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中国、米議会への影響力拡大―米紙

経済力とロビー活動が背景に
 【ワシントン早川俊行】9日付の米紙ワシントン・ポストは、中国が米経済との関係拡大や積極的なロビー活動によって、米議会への影響力を急速に伸ばしていると報じた。米議会には政治体制や人権侵害を理由に、中国に否定的な見方を示す議員が少なくないが、拡大を続ける中国の経済パワーは議会の「対中観」にも変化を及ぼしているようだ。

 同紙によると、中国との貿易に依存する米企業が増えており、こうした企業を選挙区に抱える議員は「中国が反対する法案を廃案、または骨抜きにする傾向が強まっている」という。米国は巨額の対中貿易赤字を計上しているが、対中輸出は伸びており、中国は今や、米国にとってカナダ、メキシコに次いで3番目に大きな輸出市場。2008年には米国の選挙区の85%で対中輸出が拡大した。

 クレアモント・マッケンナ・カレッジのミンシン・ペイ教授は同紙に対し、「議員も愚かではない。数年前は中国バッシングに費用はかからなかったが、今は懸念を抱く企業経営者から電話がかかってくる。中国は彼らの選挙区で雇用を生み出しているのだ」と指摘し、米経済への影響力拡大が米議員の対中姿勢に変化をもたらしているとの見方を示した。

 また、同紙によると、中国はこれまで、議会に対するロビー活動は主に米国の経済団体に任せていたが、近年は中国が直接、積極的なロビー活動を展開している。08年に中国が米ロビー会社に支払った費用は、06年に比べて約3倍に拡大。在米中国大使館には1990年代後半まで、米議会を担当する外交官が1人しかいなかったが、現在は10人以上を配置している。

 米議会には親台湾派議員が多くいるが、中国の台頭に伴い、親中派議員も増えている。同紙はその一例として、下院外交委員会アジア太平洋・地球環境小委員会のエニ・ファレオマベガ委員長(米領サモア選出)を挙げ、「長年、強固な親台派と見られていたが、近年は台湾寄りの法案や決議を骨抜きしている」と指摘した。

 また、中国の人権問題を厳しく批判してきたナンシー・ペロシ下院議長も、以前に比べて対中姿勢を軟化させている。


2010/1/10 17:25
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