戻りガツオ

 山口素堂の俳句「目には青葉 山ほととぎす 初鰹」
は有名ですが、初夏の訪れを告げるのが「初ガツオ」な
ら、秋を堪能させてくれるのが『戻りガツオ』です。

 春以降、黒潮にのって太平洋岸を北上する「初ガツオ」
に対して、夏から秋にかけてUターンして南へ産卵のた
めに下ってくるのが『戻りガツオ』で、餌を追いながら
の長い航海によって体も春先に比べて一段と大きくなっ
ているため、脂肪の乗りが倍加し、時にはマグロのトロ
より美味しいとまで言われています。

 室町時代からカツオは非常に珍重され、織田信長など
は産地から遠く離れた岐阜城や清洲城に生の鰹(カツオ)
を取り寄せて家臣に振る舞ったとされています。
また、信長は「鰹節」を『勝男武士』と表して、勝ち戦
の祈願にも使ったそうです。

 春の「初ガツオ」に比べて価格が半額程度ということ
もあり、秋の魚として秋刀魚(サンマ)と人気を二分し
ている『戻りガツオ』。たたきにしてショウガ、ワケギ、
ニンニクをかけてしょうゆかポン酢で食べるのが一般的
ですが、脂肪の乗った新鮮な刺し身も格別です。

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