7日に富士山が、10日には白山(石川、福井両県)
や岩手山(岩手県)が初冠雪。関東ではミカン狩りが始
まり、奈良公園では秋の恒例行事「鹿の角切り」が行わ
れるなど、しだいに秋が深まってゆくのを感じます。
ところで、「秋」は収穫の時期で食べ物が飽きるほど
あることから、「飽き」が語源の一つとなっています。
余ったものを交換し融通し合うようになったことから
「あきない」という言葉が派生したという説もあります。
また、秋は「とし・とき」とも読み、歳月や時間の経
過を表すこともあります。「一日千秋の思い」は「一日
が非常に長く感じられること」を、「春秋」と言えば
「年月」あるいは「年齢」を意味しています。
秋を読んだ歌には、兜町でも有名な「桐一葉、落ちて
天下の秋を知る」というのがあり、ささいな現象からそ
の後の大勢を推し量るたとえとして用いられますが、も
ともとこの歌は桐を紋章とする豊臣の世の衰退を言い表
しています。
秀吉の辞世の句として伝わる「露と落ち露と消えにし
我身かな 浪速のことも夢のまた夢」に使われる「露」
もまた秋を表し、命の儚さをたとえています。
ただ、同じ露を題材にしながら、栄華を極めた秀吉の
句よりも、幼い長女を亡くして詠んだ小林一茶の句の方
が強い余韻を残します。