月とスッポンさんのブログ

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10/8今日の気になった記事☆

以下転載
T&Cフィナンシャルリサーチ 代表取締役 吉田 恒

「100年に一度の危機」の金融システム不安、株暴落は、米国を初めとした世界的に「強引な政策発動」で一段落となった。そしてこの「強引な政策」のツケが、ドル・米国債暴落リスクになるのが「100年に一度の危機・第2幕」だろう。これをここまで抑え込んだの6月ガイトナー米財務長官訪中の役割が大きかったようだ。ただここに来て、そろそろその「ガイトナー効果」の限界が試練を迎えているようでもある。

米国債投資と人民元高の中断=米中間の取引か
 「100年に一度の危機」が叫ばれる中、日経平均は7千円割れ含みとなり、NYダウは7000ドル割れへ暴落した。こういった株安は3月前半で底打ち、反転となったわけだが、それをもたらしたのは米国を筆頭とした前代未聞の政策総動員だった。
 このように株安への歯止めには成功したわけだが、これですべて終わりということではもちろんなかった。次に注目されたのは前代未聞の政策総動員の反動だった。とくにこの政策発動をリードした米国では、財政赤字が空前規模に拡大し、そして未曾有の金融緩和により過剰流動性懸念が強まっていた。そんな政策の反動が注目されたのは、米金利とドルへの影響だった。

 三菱東京UFJ銀行が作成したグラフによると、米財政赤字拡大は、米2-10年債利回り差が今後5%程度まで急拡大する可能性を示している。普通に考えたら、米長期金利は6-7%になるといった見通しになるだろう。そして、米財政赤字拡大や過剰流動性は、今後ドルが3割以上も下落する余地を示唆している。

 株暴落と金融システム不安などが、「危機第1幕」なら、それを収拾するための無理な政策発動のツケが「危機第2幕」をもたらし、それはドルと米国債の暴落リスクになる。以上見てきたことからすると、米国の株価底入れから2ヶ月以上経過した5月中旬、米国債格下げ思惑をきっかけに、米長期金利急騰、ドル急落となった動きは理解しやすいところだろう。

 ただ、このドル・米国債暴落リスクといった「危機第2幕」は、6月にかけて比較的あっさりと一段落となった。これについては、6月初めのガイトナー米財務長官訪中の果たした役割が注目される。現象面を見るかぎりでも、このガイトナー訪中を前後し、米長期金利は4%で頭打ち、低下傾向へ転換となっていた。

 このような状況証拠などから推測されるのは、このガイトナー訪中をきっかけに、今や最大の米国債買い手になっている中国からの米国債投資継続が確認された可能性だ。では、ガイトナーはどうやって、巨額の財政赤字により需給懸念の大きい米国債への継続的投資を中国から引き出したのか。それは、ドル安・人民元高誘導の中断を黙認するということではないか。
 
欧州の不満が募ってきた「不都合なシナリオ」

 中国は米国債投資を継続し、その見返りとして米国は中国の人民元高誘導中断を黙認する――。6月ガイトナー訪中で、米中間でそんな合意があった可能性は注目される。実際そんな合意があったかはともかく、現象面をみるかぎり、米国債相場は6月以降上昇基調が続き、利回りは4%から一時は3.1%まで低下基調が続いてきた。

 一方でNYダウが6000ドル台から1万ドル突破含みまで急反発を続ける中で、このような米金利低下は見方によっては不思議な組み合わせだ。ただ金利の低位安定を好感したことが株高の一因と考えると辻褄は合う。

 そしてこのような米金利の低下は、ドルの下落ももたらした。ドルの実効相場は、6月初めから最近にかけて下落基調が続いてきた。このようなドル安は、輸出競争力回復を通じ、米景気回復の一因になってきただろう。米国からすると、人民元高が中断されても、人民元以外の通貨に対するドル安が続いていることで、十分「実」をとっていたのではないか。

 こんなふうに見てくると、6月以降の動きは米国にとっては都合の良いシナリオだっただろう。ただ、それが米国以外の国に不都合なシナリオでなかったわけではないだろう。

 9月下旬におこなわれたG20、G8といった国際会議を前後し、欧州の参加者からドル安懸念が相次いだ。ただその裏には、人民元に対する不満があった可能性もある。欧州にとっては対ドルで欧州通貨高となり、そしてその米ドルと人民元が連動している結果、人民元安・欧州通貨高も進んでいることになる。米国にとっての都合の良いシナリオは、欧州にとっては不都合なシナリオになっていた可能性があるわけだ。

G20対外不均衡是正は「机上の空論」なのか
 NYダウは、9月後半から、1万ドル回復を前にして頭の重い動きになってきた。これまで見てきたように、米金利の低位安定を好感することが、この間の株高の一因になっており、その影響が限界に近付きつつある可能性も注目される。

 9月後半におこなわれたG20金融サミットは、事前に欧州諸国から金融規制問題を中心に議論するとの意見が出されていたところ、直前になって米国から提案された対外不均衡是正に注目がシフトしたようになった。これも、「危機第2幕」を、6月ガイトナー訪中以降何とか抑え込んできたことが、そろそろ限界に達しつつあるといった米国の危機感によるものと考えられないだろうか。

 G20サミットで米国が問題提起した対外不均衡是正の考え方は、米国の過剰消費を見直す一方で、中国など経常黒字国は内需拡大に取り組むということだ。これがうまく進めば、世界経済は拡大均衡を追及し続けられることになる。

 しかしこういった考え方に対し、「机上の空論」に過ぎないといった懐疑的な見方もある。「これまでの輸出は、かなり米国の消費者を意識し設計されてきた。それをこれからは内需を拡大し、国内の消費に回るようにするといったことは、単に数合わせの考え方で、現実には機能しないだろう。そしてそれが機能しない以上、世界経済は縮小均衡が不可避になる」(国際金融筋)。

 こんなふうに見てくると、ドル・米国債暴落といった「100年に一度の危機・第2幕」を、6月ガイトナー訪中で何とかここまで凌いできたが、それがまだ機能するかどうか試練を迎えているということになるのではないか。(了)
2件のコメントがあります
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    ねこ株さん
    2009/10/8 23:13
    こんばんは。

    凄い記事ですね。

    ガイトナー・オバマのトップセールスで米国債を売っていたのかなーとは思ってましたが、
    金利で見ると一目瞭然なのですね。

    ただ最近は、中国との仲もちょっと悪くなってきているような気もするのですよね。

    米国は金利上昇だけは阻止したいはず。

    今後第2幕がどうなるかは、必見ですね。
    (というか、第2幕が綺麗に閉まらない場合って、世界〇慌?)
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    月とスッポンさん
    2009/10/8 23:58
    ネコ株さんこんばんわ☆

    すごい記事ですけど、なんか納得、、、^^;

    したたかな中国とアメリカが自分たちの都合のよいように密約、、、

    >ただ最近は、中国との仲もちょっと悪くなってきているような気もするのですよね。

    あたしもそんな気がします~^^;
    というか、アメリカがやたら自国産業の利益を押し通しすぎる気がする、、、

    トヨタにも特許侵害だなんだっていちゃもんつけてきて、、、トヨタをつぶす気か!?

    わがまますぎて呆れます --;
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