愚痴る前に他人(ひと)の身を知る

夏目漱石は「草枕」の冒頭で「智に働けば角が立つ。
情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ」として
人の世の住みにくさを嘆いてみせました。


 それより昔に、これと似たリズムで伊達政宗は違った
ことを言っています。
「仁に過れば弱くなる。義に過れば固くなる。礼に過れ
ばへつらいとなる。智に過れば嘘をつく。信に過れば損
をする。

 気ながく心穏やかにしてよろず倹約を用い金を備うべ
し。倹約の仕方は不自由を忍ぶにあり、この世に客に来
たと思えば何の苦もなし、朝夕の食事は、うまからずと
も誉めて食うべし。元来、客の身なれば好き嫌いは申さ
れまい。」
 

 人間生きている限り不満や愚痴が生じることはいたし
かたないのかもしれませんが、それだけでは住みにくい
世の中を愚痴るばかりで終わってしまいそうです。


 しかし正宗は言います。「元来、客の身なれば好き嫌
いは申されまい」、どのような評価や待遇もありがたく
頂戴いたしましょう、ただ為すべき事を為すのみと。

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