皆既日食

株育男さん
株育男さん
皆既日食。

太陽と地球の間に月が割り込んで、
太陽の光を遮ってしまう現象です。

皆既日食では、コロナやダイヤモンドリング、
まるで夜になったかのような暗さと寒さなど、
いろんな現象が短い時間に起きますが、
その全てが美しく、ドラマチックで、
宇宙規模のスペクタクルで、感動的です。


ただ、太陽と月があまりにもジャスト同じサイズなため、
完全に太陽が隠れる「皆既日食」は非常に珍しい現象です。
1、2年に1度、世界のごく限られた地域で、
ほんの数分間しか見られません。
一度皆既日食を見ると病みつきになり、
日食を見に海外に行く「日食ハンター」になる人もいます。


今回、私は東京都でありながら沖縄本島より南にある、
小笠原諸島の「北硫黄島」近海まで行くツアーに参加しました。
「小笠原丸」の船上で過ごした時間は、
洋上待機も含めて6日間のうち計73時間にも及びました。

天気は、事前の予報は良くありませんでした。
当日もレーダーを見ながら雲を避けて針路を変更したようです。
クルー達の努力のかいあって、
皆既日食中と前後数分間は小さな雲一つない奇跡的な晴れでした。
雲を避けて移動できるのが船の非常に有利な点ですが、
今回は見事に成功しました。


しかし船の甲板には真夏の日射しが頭の真上から照りつけ、
遮るものもなく非常に暑かったです。
部分日食も含めると3時間も続く長丁場ですから、
肌の露出を極力抑え、水分を取りながら皆既日食の時刻を待ちます。

皆既の数十分前より、昼間なのにあたりは暗くなり始めます。
さっきまでの灼熱はなく、どんどん涼しくなってきます。
日食グラス越しにに見る太陽は三日月のように細く、
麦わら帽子の影を見ると、全ての影が「三日月」に変わっています。

皆既が近づくと日暮れ後のように暗くなり、
まずは明るい金星が輝き始め、次第に水星や一等星などが見え始め、
水平線は夕焼けに染まります。
洋上の360度の夕焼けは、それはそれは不思議な光景でした。


皆既日食へのカウントダウンが聞こえてきます。
太陽はもはや糸のような細さです。
緊張と、異様な光景に冷静さを失います。
「あー細い細い!」などと
あちこちから悲鳴のような歓声が聞こえはじめます。

皆既の直前の一瞬のダイヤモンドリングの後、
突如として天空に黒い太陽が現れます。
美しく不気味な黒い太陽。
普段は見えない太陽コロナが黒い太陽の周囲に見えます。
コロナを従えた黒い太陽はまるで、
我々の神太陽を乗っ取った翼の生えた悪魔のようです。

暗くなるだけでなく、気温もどんどん下がるので肌寒くなります。
まるでこの世の終末のような光景に、
命の危機を感じ不安が高まり興奮状態におかれます。
全身が鳥肌になるのも、寒いせいだけではないと思います。
(今でもその光景を思い出すと鳥肌になります)

地上であれば鳥や動物達が騒ぐけど、
船の上で騒ぐのは人ばかりです(笑)
「うぉー」「凄い凄い凄い」「怖ーーい」「なんじゃこりゃー」とか、
いい年こえた大人が騒いでいます。

双眼鏡で見たり、写真を撮ったりと皆さん忙しそうでしたが、
今回に限って言えば肉眼が最強でした。

船上で揺れるため撮影に向かないのと、
コロナやプロミネンスなどの太陽活動が低調なため、
双眼鏡では意外と見栄えがせず、
私も途中から肉眼オンリーになりました。

皆既日食継続時間は6分37秒もあり、
暗さに眼が慣れて素晴らしいコロナが肉眼でよく見えました。
私は日食は3回目ですが、
とにかく「でかい」という印象を受けました。

騒ぎつつ、驚きつつ、冷静さを保つため周囲の人を見たり、
夕焼けを見たりしているうちにあっという間に終了のカウントダウン。

皆既の終わりに一瞬あるダイヤモンドリング。
恐怖と不安を蹴散らして、私たちの元に蘇ってくれた太陽の光は、
「希望」と「生命」に満ちあふれた強烈な輝きと暖かさがありました。
感動で涙を流す人もいます。
この光は地上にあるどんな宝石より美しいでしょう。

「太陽がある」って何て素晴らしいのだろう。
本当にホッとします。
溢れる歓声、拍手、笑顔。
早速酒を飲み始める人達もいます。
誰もが抜群の笑顔で、今目の前に起きた奇跡を分かち合っています。
広い洋上にポツンと浮かぶ船の上は
もの凄く暖かい気持に包まれていました。

ちなみに、皆既日食ツアーに参加した人どおしはすぐに仲良くなれます。
これも日食ツアーの魅力の一つです。
私も10年前に同じツアーだった仲間と、
今でも毎年飲み会をしています。


日食終了後には、船のスタッフさん達に対して
大きな拍手と感謝の言葉がわき起こりました。
その時、船長さんは涙ぐんでいたそうです。
改めて小笠原海運のスタッフさん達一同に感謝申し上げたい。

日食の後の航海では、
マッコウクジラの潮吹きが見れたり、
イルカの群れが船の近くの水面に出てきてくれてドルフィンスイムを見せてくれたり、
父島の港は2重の虹のアーチで出迎えてくれたりと、
船の中だけでなく、
海も空も祝福ムードに包まれた幸せな航海でした。


おまけ:
NHKの中継動画(8分)
http://www.youtube.com/watch?v=kYhFdKzq6rM
タグ
#小笠原
20件のコメントがあります
1~20件 / 全20件
株育男さん
みのりさん、こんにちは〜

同じ目的で、同じ喜びを共有しあうと、
とてもボーダーレスな感じになりますよ〜

次の日食は、、、まだノープランです。
2035年の日食は長年連れ添った人と見たいですね。
みのりさん
こんにちは、

良い方たちとの出会いもあったんですね。

同じ目的で集まった人たちですから、触れ合いやすいでしょう?

この写真は素敵なプレゼントになりますよほんとに。

3回目。日本の 日食ハンターの仲間ですね。次もまた狙うんでしょう?

楽しんでくださいね。そして 話しのおすそ分けがいただけたら嬉しいです。
株育男さん
みのりさん、こんばんは〜

プロフ写真は、同じ甲板にいた人からのお裾分けです(笑)
私の撮ったのは日記のやつ。携帯からなのであれで限界でした。

本物は、涙が出るぐらい感動的ですよ。
旅行の楽しさと宇宙規模のショーを両方楽しむ「日食ハンター」は、
かなり面白いです。
私も3回目なので立派な日食ハンターですかね(笑)
みのりさん
こんばんは、

プロフィールの写真、花育成計画さん が撮った写真ですか?

まばゆいダイヤが大きく撮れています。ヤフーに載った写真より素敵に撮れています。

いいですね、これを自分の目で見られて・・

なんとなくですが、日食ハンターになっていく人の気持ちが判るような気がします。
株育男さん
Rsunさん、こんにちは〜

確かに、私も言葉に書ききれない肌身の凄まじさがいっぱい残っている感じです。
ぜひ、これは体験していただくしかないです。
あと26年後には北関東でも皆既日食が見れますから、
この感動を体験できますよ!

あと、洋上観測のメリットは、
皆既帯のど真ん中になるので皆既日食の継続時間が長い事です。
6分半以上の皆既日食は今世紀最長です。
まさに世紀の天文ショーでした!
Rsunさん
こんにちは♪

なんとコメントしていいのか分からないくらい、
皆既日食の素晴らしさと感動が伝わってきます。

でも、この素晴らしさと感動は実体験した人にしか分からないのでしょうね。
羨ましい^ ^”

>当日もレーダーを見ながら雲を避けて針路を変更したようです。
何故船上からの観察??
と思いましたが、ナイスな計画なのですね。
(こんなところで感心していました^ ^”)
株育男さん
イカのおすしさん、こんにちは〜

あの方の日記を読んだのですが、
写真撮るのもうまいですよね(笑)

イカのおすしさんも転職する際には合間に旅行をお勧めしますよ。
のんびりするなら南の島がお勧めです!
小笠原に海の家はなかったですが(笑)
株育男さん
みやまな鉄砲長さん、こんにちは〜

> ↑ココいい文章ですね!(^_^)/

せっかくお褒め与ったのに、
ちょうど推敲してしまった部分でした。
文章を急いで書いたので、だいぶ書き直しました。


> 私は日食は見れませんでしたが、
> 旅の報告を聞いて癒された感じになりましたよ(*^^)v

ありがとうございます。
そう言ってもらえると嬉しいです。
日食のインパクトとまでもいかなくても、
青い海や青い空のような爽やかな人になりたいですね。
こんにちは!一連の旅日記楽しく拝見させて頂きました!いや~羨ましい限りですよ!あの方は北欧に行ってるようですし、僕もどっかでのんびりしたいですね~。海の家にでも転職しますかね~。
こんにちはー花育成計画さん

どの日食だったか、、、
幼いころに見たことがあります。...( = =) トオイメ

>特に、皆既の終わりに見えてくる光は「希望」と「生命」の光。
わずが一条の光でも、
私たちは猛烈な輝きと暖かさを感じ、
感動で涙を流す人もいます。
このダイヤは地上にあるどんな宝石より美しいでしょう。

↑ココいい文章ですね!(^_^)/
私は日食は見れませんでしたが、
旅の報告を聞いて癒された感じになりましたよ(*^^)v

長いたびになった船長、クルーのみなさん、
そして旅の報告をしてくれた
花育成計画さんに( ̄^ ̄ゞ ケイレイ!!
株育男さん
こうちゃんさん、こんにちは〜

ほんと、最高の旅でした。
が、今朝もまだ少し船酔いでフラフラします(笑)

> > 船の上で騒ぐのは人ばかり(笑)
>
> あはは(笑) これ、最高(笑)
> でも、幸せなひとときですね(^。^)

10年前のトルコ日食のときは、
自分のすぐそばでビデオ撮影している人がいて、
自分の騒ぐ声とか、嬉しさのあまり変なポーズ連発している姿とか
後から見させられて苦笑しましたよ。
でも最高です。


こうちゃんさんも、機会があればぜひ日食を見てくださいね♪
花育さん、おはようございます(^。^)

最高の体験、本当によかったですね♪

> 地上であれば鳥や動物達が騒ぐけど、
> 船の上で騒ぐのは人ばかり(笑)

あはは(笑) これ、最高(笑)
でも、幸せなひとときですね(^。^)

> 6日間で計73時間にも及びました。

えーーー、本当にお疲れ様。

> 雲を避けて移動できる船での観測は非常に有利。

なるほど(^。^)
知りませんでした。

> ザトウクジラの潮吹きが見れたり、
> イルカの群れが船の近くの水面に出てきてくれて
> ドルフィンスイムを見せてくれたり、

本当に最高の旅でしたね♪
株育男さん
ひよこさん、こんにちは〜

ご心配おかけしました。
おかげ様で奇跡のような光景の数々を見て、体験してきました。

シュノーケリング中とか、イルカとか、ウミガメとか、
東京都最後の楽園「南島」とか、
写真に撮れなかったのもいっぱいあります。
日食だけでも凄い体験なのにね。
本当に贅沢な旅でした。
株育男さん
soltさん、こんにちは〜

天気は、前日まで良くなかったですよ〜
小笠原に着いた日も、
昼間は晴れていたのに夕方はギャグみたいな土砂降り(スコール)。

でも、そのおかげで夜は満天の星空、
当日もピーカンでした。
当日も夕方にはお約束のスコールがありましたが、
その度に美しい虹が見れたりしました。


> ソルトも次は見に行こう…

間違いなく、soltさんなら感動して泣くと思います!
株育男さん
みのりさん、こんにちは〜

本物はやっぱり凄いですよ。
本能に突き刺さるヤバさ、凄まじい体験だと思います。

スタッフさん達のプレッシャーは凄いものがあったでしょうね。
小笠原丸は的確に快晴のエリアを航行して、
全く危なげなく観測を終えましたが、
それでも数分後には少し大きな雲がかかったり、
かなり「幸運」にも恵まれたと思います。

360度夕焼け、見ましたよ!
実際に360度見れたわけじゃない
(後ろは船のブリッジなので(笑))のですが、
見渡す限りの夕焼けは不思議な光景でした。
株育男さん
taketakeさん、こんにちは〜

はるばる旅をしたかいがありました!
今、日記を書きながら当日の様子を思い出しただけで鳥肌がたっています。

NHKは硫黄島と、北硫黄島近海の船上からの中継だったみたいですね。
小笠原丸にも多数の報道関係者が乗っていました。
報道に携わる人たちも、感動でビックリしていたみたいです!
(退会済み)
お帰りなさいです★

見れたんですね!よかったぁ。
豪雨っていうニュースとかしてたので気になってました。

あれ。soltさんとコメがかぶりましたね(笑)
多分、心配している人が多かったことと思います~(^-^)

写真たち、すごくキレイですね!!
日食のと水平線のが特に感動です~っ。
soltさん
やっと見れたねえ´∪`
やったねえ

いやはや豪雨と囁かれていたので、心配してました~。よかった♪よかった♪

ソルトも次は見に行こう…
そのときはおばちゃまかおばあちゃまになっているだろうな

花育さんの素晴らしい旅
バンザイ~~~~
みのりさん
こんばんは

テレビの報道でも鳥肌物でしたから、実際見た方は、その何倍もの感動を味わったのでしょうね。

NHKで、船長さんたちスタッフの様子を写しましたが、ほんとにいろんな情報を照らし合わせて 航路を考えて、決定している姿も感動でした。

船からの観測だったのですね。360度の夕焼け見られましたか?
taketakeさん
花育成計画さん こんばんは!!

お帰りなさい。
なんか、順番無視して、一番先に、核心を見てしまいましたぁ。

皆既日食の画像見たときに、背中がゾクゾクっとしました。

天気良くて良かったですね。

NHKのテレビでも放映していましたが、やはり船上が一番みたいですね。
晴れの区域を目指して移動できるから。

明日、ゆっくりほかのも読ませてもらいます。
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