徳は、事をなす基礎となる  7

学ぶ者は、段の兢業的心思ありて、また段の瀟洒的趣味あるを要す。

もし一味に斂束清苦ならば、これ秋殺ありて春生なきなり。

何をもってか万物を発育せん。


(道を会得しようとするなら、己を戒め、慎み、厳しく姿勢を正すことが肝心である。

またその一面では、物事にこだわらない洒脱な味わいがほしいものである。

ただただ己を苦しめ、それに耐えるばかりであるなら、秋の冷気ばかりで、

万物を育てる春の暖気がない。これで万物を育てることができようか)


『論語』の子張篇に次のような文句がある。

「子夏曰く、君子に三変あり。これを望めば儼然たり。これに即けば温なり。

その言を聴けば厲し」

(君子には三つの変化がある。遠くからみるときは、近づきがたい威厳がある。

親しく接してみると、その人柄のあたたかさが伝わってくる。さらに、その言葉を

かみしめると、その言葉の厳しさがわかってくる)


引用  菜根譚を読む 著者 井原隆一

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