アメリカはもう終わりだ、ドルは基軸通貨とは言えない、
こういった論争が不況になれば聞こえてくる。
「他人が儲かっていると、自分は損した気分」 になる人々には耳触りがいいのだろうか?
確かに、中国他の新興諸国の経済成長やドル通貨の長期的な下落、財政赤字など負の側面はいっぱいある。
しかし、それでも米国社会のシステムや理念はやはり世界最高水準にあると思われる。
私の学生時代(1980年代後半~90年代初頭)にも同じような議論があった。当時の中国の様な脅威の国は実は日本であった。
日本は空前のバブル景気に酔いしれており、米国は「ホームレス」と呼ばれる失業者が溢れる、といったことがあった。
しかし、その後インターネットなどの新産業やグローバル化の波に一早く乗り、圧倒的柔軟な機動力で経済は一気に再生した。
株式相場も実はブラックマンデーが87年にあったものの、総じて80年代後半から90年代を通じては絶好調だった。
ITバブル崩壊後の昨今の方が株価の成長率が鈍っているぐらいだ。
バックミラーを見ては先を見誤る、というのも事実だが、米国以上にその役割を果たす国や株式相場もないだろう。
株価は、ファンダメンタルズが適度な期待値で評価されることで初めて株主にリターンがもたらされる。
期待が小さければ、それなりに機会もあるというものだ。