富貴名誉の、道徳より来る者は、山林の中の花のごとく、
おのずからこれ舒徐繁衍す。
功業より来る者は、盆檻の中の花のごとく、遷従廃興あり。
もし、権力をもって得る者は瓶鉢の中の花のごとく、その根植えざれば、
その萎むこと、立ちて待つべし。
(徳望によって得た富や名誉は、野山に咲く花。自然に根を張り芽を伸ばしてくる。
功績によって得たものは、鉢植や花だんの花。他に移されたり、捨てられたりする。
権力によって得たものは、花びんにさされた花。根がないので、たちまちしおれて
しまう)
引用 菜根譚を読む 著者 井原隆一