小さい頃、自転車で、紙芝居家が、村の中に来た。水あめ(ねじり飴と、言っていた)を子供に売り、紙芝居を見せるのである。水あめは5円で、10円出すと、2倍の大きさだった。水あめは、赤と青色で、色が付いていた。その水あめを、割りばしの2本で、ねじっていくので、ねじり飴と呼んでいた。
紙芝居は、連続ものが多く、「怪人20面相」などの、物語であった。子供は、夢中で、その紙芝居を見たものだ。中には、水あめが、買えない子供もいたが、それでも、紙芝居屋さんは、見せてくれた。
子供の話では、水あめを買わないと、紙芝居を見せないと、聞いていたが、買えない子供は、遠くから、と言っても3メートルくらい離れた所から、見ていた。
それは、子供心に、世の中の理不尽さを、感じた。この頃から、世の中は平等ではないというのを感じていた。
そして、子供どうしでも、差別をしたり、喧嘩をしたりする、小さな社会を作っていた。
この頃は自動車が、全くないので、道路の端で、のんびりと見ることができた。
その紙芝居も、何時の間にか、消えてしまった。テレビが出てきたためか。しかし、その前から、無くなったと思う。戦後から、世界が、安定する前の期間だった。
大人の働くところ(会社、小売店など)が無いので、こんな、子供相手の僅かな収入で生活している人がいたのだ。