植田和男日銀総裁の発言で円安ドル高へ大きく振れた

優利加さん
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昨日の米国株式相場は小幅続伸した(DJIA +61.29 @42,124.69, NASDAQ +25.95 @17,974.27, S&P500 +16.02 @5,718.57)。ドル円為替レートは144円台前半の先週末比円安ドル高水準での動きだった。本日の日本株全般は高安まちまちとなった。東証プライムでは、上昇銘柄数が877に対して、下落銘柄数は713となった。騰落レシオは106.47%。東証プライムの売買代金は4兆3014億円。

TOPIX +14 @2,657
日経平均 +217円 @37,941円

米国では、9月の米購買担当者景気指数PMI速報値が予想以上に悪化した(前月47.9から47.0へ)ため、景気後退懸念が再び持ち上がった。しかし、先週、米連邦公開市場委員会(FOMC)で先手を打って0.50%の大幅利下げを決定していたので、株式相場は狼狽することなく続伸した。7月中旬から始まった狼狽売りの嵐とは大違いである。S&P500 とダウ工業株30種平均はともに連日で史上最高値を更新した。

本日9月24日の東京市場では、米経済がソフトランディングするとの期待から米国株式相場の上昇基調が継続していることを好感して、買い優勢の展開となった。日経平均は一時上げ幅が700円強となった。日銀の植田和男総裁が、政策判断について「時間的な余裕はある」と再び発言したと報道されると、円相場は1ドル=144円台まで円安ドル高となり、株式相場はこれを好感して上げた。中国でも、当局が追加金融緩和を相次いで発表し、上海総合指数とハンセン指数が急伸したことも日本株の買い安心感につながった。ただ、日経平均は直前の3営業日で1,500円ほど上げていたので、利食い売りに頭を抑えられた。

6月の日銀短観によれば2024年度の企業の想定為替レートは全規模・全産業で1ドル=144円77銭だったため、1ドル=140円台では減益懸念が高まっていたが、その懸念が後退した。3月期決算企業の配当権利付き最終売買日が近づき、上場投信(ETF)やGPIFなどのパッシブ型運用の機関投資は9月末の配当再投資をするのでその買いが期待されている。

日米金利差の縮小はほぼ確実路線だが、足元では円高ドル安方向には動いていない。それはなぜだろうか。一つの理由はドルの実需買いが大きくなっているからである。では、なぜドル買い円売りの実業買い需要が大きいのだろうか。それは日本の貿易収支が大赤字だからである。2024年1~8月の累計では、4兆5000億円もの赤字である。2022年、2023年も巨額の貿易赤字だった。投機目的のドル買い円売りは利益確定のため比較的短期間で反対売買が起るが、実需のドル買い円売りは反対売買が起らないため為替相場の方向性を大きく左右する。さらに、ミセス・ワタナベ(個人のFXトレーダーの総称)も金利差からドル買いを好む。今後の円相場は、金利差縮小によるドル売り円買いの力と実需によるドル買い円売りの力との綱引きとなるので、円高ドル安が着実に進行することはなさそうである。円安ドル高にも関わらず、本日、トヨタ自動車株が上がらなかった背景はここにあるかもしれない。

日経平均の日足チャートを見ると、3日続伸したが下向きの60日移動平均線にちょうど弾き返されるように上ひげを引いた陰線で終えた。9月2日の戻り高値@39,081円が現在の目標であるが、米国株の動き次第だろう。

33業種中25業種が上げた。上昇率トップ5は、海運(1位)、保険(2位)、電気・ガス(3位)、非鉄金属(4位)、精密機器(5位)となった。

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