まわりに人はいない
ススキが近くで揺れている
あれ?何故わたしはここにいるんだろう?
母はそう思った瞬間に目を覚まし、
病院のベッドの上で寝ていることに気付いたそうです・・・
「お母さまは緊急手術を要します。至急お越しください。」
朝いつもの時間に家を出てすぐ病院から私の携帯に電話が入り、
訳もわからないまま病院に向かった。
前日、母は腹痛を訴えるも、かかりつけ医の診断では自宅での様子見の一点張り。
でも、これ放っておいたらあかんやつじゃないのか、と私と妹は医師の判断を疑う。
同日急性期病院でもかかりつけ医と同じことを言われたものの、
ごり押しで何とか入院させてもらうことができた。
「私がこんなに苦しんでいるのに、お医者さまは帰れという」
母は病院で泣きわめいたそうだ。
ちなみに母はこの時の記憶はまったくないそうだ。
「手術は成功するものだと思っています。
ただ、時に予期しなかったことが起こりえます。」
医師の言葉で楽観に傾いていたものの、
手術前に見た母の顔色が黄土色になっており、急に心がざわめき始めた。
当時、父も入院しており、家の中がひっくり返るような騒動だったが、
この頃の母は別人のような振る舞いや言動が多数有り。
おそらく、母は生死の境をさ迷っていたのだろう。
これは2018年秋のお話です。
手術は無事成功し、母は存命で、現在は元気に暮らしています