TOPIX -34 @2,663
日経平均 -509円 @37,962円
米国では、引き続き中東の地政学リスクが尾を引いているが、パウエルFRB議長が高金利政策を維持することが必要であると述べた(タカ派的発言)ことで、ダウ工業株30種平均は前日までの6営業日で1,168ドルも下落していたので本来なら押し目買いが優勢となってもおかしくないタイミングではあるが、株価は重い動きとなった。米長期金利(10年債利回り)は前日の4.62%台から4.66%台へ上昇した。
本日の東京市場では、オランダの半導体製造装置大手ASMLホールディングが発表した2024年1~3月期決算で売上高が市場予想を下回ったことが報道された。売上だけでなく、将来の売り上げに直結する受注額も市場予想を下回った。さらに、4~6月期売り上げ見通しも市場予想を下回った。これにより半導体製造装置に対する需要拡大期待が縮小し、アドバンテスト、レーザーテク、スクリンなどの半導体関連銘柄を中心に売りが急増した。
米国では、4月に入ってからインフレに対する警戒感が高まって来た。3月の雇用統計と消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回り、改めて米国経済の力強さとインフレ圧力の根強さが示された。原油価格や銅などの資源価格も上昇基調となってきた。米国では、今年年初には3月にも利下げ開始で、今年中に7回の利下げがあるとの期待が主流で、その期待を織り込みながら株価は上昇を続けていた。しかし、足元では急速に逆回転している。今や、利下げ開始は最速でも9月へ先送りとなり、年内の利下げ回数は最大でも2回となり、主流の見方は1回になっている。それどころか、年内には利下げはないとの「利下げ見送り説」さえ増えているくらいである。結果的に、事前の期待と時間経過後の現実にはこれほど大きな乖離があったことになるが、これが株価の真理である。この逆も十分起こりうる。進行する円安・ドル高に対処するために、政府・日銀は円買い・ドル売りの市場介入をするか、利上げを迫られる。実際に利上げするかしないかに関わらず、マーケットが利上げを想定するだけで、株価には強い下押し圧力がかかる。市場介入の場合は即効性はあるが、原因が日米金利差というファンダメンタルズにあるので、その効果は短期的となり持続性がないと見る。つまり、日銀に対する利上げ圧力は続くということであり、株価にとっては下押し圧力となる。
現在の時点で分かっている世界中のあらゆる情報を、世界中の超秀才たちが寄ってたかってどんなに精緻に分析しても、3~4カ月先と言う比較的近い未来でさえ大きく読み間違えることは頻繁に起こる。それでも相場の波に乗り続けるためには何をどう考えてどう実行すれば良いのかを研究し続け、仮説を立て、それを検証し、微調整を続けることが「生涯現役の株式トレード技術」の核心である。これこそが株式相場の本質であり、だからこそ面白いし、ライフワークとして取り組むにあたり「相手にとって不足なし」と言える。
日経平均の日足チャートを見ると、大陰線で続落した。これで3日連続の大幅安となった。60日移動平均線も明確に下抜けしたので、株価サイクル⑥(着実な下落局面)に入った可能性が高い。下げが急速だったので、早晩、自律反発狙いの買いが優勢となり株価はある程度は戻るはずであるが、どこかで戻りが止まり、また反落し始めることを想定しておきたい。
33業種中31業種が下げた。下落率トップ5は、電気・ガス(1位)、石油・石炭(2位)、鉱業(3位)、パルプ・紙(4位)、証券(5位)となった。