粘着質で下げない米インフレと言う「炎」に「油」が注がれたため

優利加さん
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先週金曜日の米国株式相場は大きく下落した(DJIA -475.84 @37,983.24, NASDAQ -267.10 @16,175.09, S&P500 -75.65 @5,123.41)。ドル円為替レートは153円台後半での前日比円安水準での動きだった。本日の日本株全般は下げる銘柄の方が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が690に対して、下落銘柄数は910となった。騰落レシオは112.29%。東証プライムの売買代金は3兆9857億円。

TOPIX -6 @2,753
日経平均 -291円 @39,233円 

米国では、悪材料が重なり株価は大幅下落した。3月輸入物価とミシガン大学期待インフレ率(1年後の予想インフレ率は4月3.1%>3月2.9%)が予想以上に強く、インフレの長期化が懸念され、利下げ期待がさらに後退した。これらに加えて、先日のイスラエルによる在シリア・イラン大使館爆撃に対する報復として、イランがドローンでイスラエル本土を初めて攻撃した。報復の悪循環が懸念されて中東の地政学リスクが高まった。具体的には、世界の原油の約2割が通過するホルムズ海峡を巡る緊張が高まり、安定した原油供給に対する不安から原油高となり、ただでさえ粘着質でなかなか下げないインフレという「炎」にさらに「油」を注ぐことになりかねず、米株価は大きく下落した。

米国株の大幅下落の流れを受けて、本日の日経平均も大きく下げて始まり、下げ幅は一時700円を超えた。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)が大きく下げたため、東京エレクトロンやアドバンテストなどの主力半導体銘柄が売られて株価指数を押し下げた。しかし、売りが一巡すると買戻しが入り、下げ幅を縮小して終えた。イスラエルもイランもある程度自制的に動いており(イランは攻撃の72時間前に事前通告しており、99%のドローンは着弾前に迎撃されたためイスラエル側の被害が限定的だった)、少なくともしばらくは双方とも攻撃のエスカレーションはなさそうである。1ドル=153円台後半まで進んが円安・ドル高基調が日本株相場を下支えしている。

日経平均の日足チャートを見ると、大きくギャップダウンして始まったが下ひげを引いた陽線で終え、下げ渋りを見せた。そうは言ってもやや下向きとなった25日移動平均線の下で推移しており、少なくとも暫くの間はある程度反発しても戻り売りに押し戻されやすいので要注意である。

33業種中16業種が上げた。上昇率トップ5は、電気・ガス(1位)、海運(2位)、非鉄金属(3位)、石油・石炭(4位)、ゴム製品(5位)となった。

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