長期金利低下の買い材料<景気悪化の売り材料

優利加さん
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昨日の米国株式相場は下落した(DJIA -70.13 @36,054.43, NASDAQ -83.20 @14,146.71, S&P500 -17.84 @4,549.34)。ドル円為替レートは146円台半ばの前日比円高水準での動きだった。本日の日本株全般は下げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が249に対して、下落銘柄数は1,382となった。騰落レシオは109.38%。東証プライムの売買代金は3兆7010億円となった。

TOPIX -27 @2,360
日経平均 -588円 @32,858円

米国では、米11月ADP民間部門雇用者数が10.3万件増と、市場予想の13万件を下回った。さらに米7~9月期単位労働コスト改定値も-1.2%と予想の-0.9%を下回った。労働市場の過熱感は和らいでおり、賃金上昇圧力が低下位していると解釈され、米長期金利(=10年債利回り)は前日の4.171%から4.106%へ下げた。長期金利の低下を好感して高く始まったが、8日発表予定の米11月雇用統計を控えているため、ハイテク株中心に持ち高調整のための売りが優勢となった。

本日の東京市場では、米国市場でハイテク株を中心に売られた流れを受けて、売りが優勢となり、明日のメジャーSQを控えて短期筋が先物売りを増やした。世界景気の減速を先取りするように原油価格が下げ、米景気減速懸念が強まり、日経平均は一時下げ幅を600円強に拡大した。世界景気の悪化懸念を意識して、世界景気敏感株の商船三井など海運大手3社の海運株が目だって売られた。また、中国や米国での需要低迷(米国で原油在庫が急増している)を反映した原油相場の下落(WTI: 1バレル<70ドル)を受けて、INPEXやENEOSなどの資源関連株も売られた。つい最近までは「景気が悪いニュースは株式相場にとっては良いニュース」だったが、今は「景気が悪いニュースは株式相場にとっても悪いニュース」になりつつある。今日のところでは、長期金利低下の買い材料と景気悪化の売り材料の綱引きは後者の方がやや優勢になりつつあるようだ。

日経平均の日足チャートを見ると、昨日の長大陽線の反発に対して、本日はたすきを掛けるように大陰線で下げて「たすき線」となり、昨日の大反発をほぼ帳消しにした。11月15日から続きいていたアイランド(島のような塊)で積みあがった買い持ち高は戻り待ちの売り狙いのマグマとして溜まっている。これら売りをすべて買い切らない限りバブル崩壊後の高値更新はない。数週間先までの未来ではかなり難しそうになってきた。

33業種中28業種が下げた。下落率トップ5は、海運(1位)、鉱業(2位)、電気機器(3位)、機械(4位)、非鉄金属(5位)となった。

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