長期金利の低下効果と景気減速効果の綱引き

優利加さん
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先週金曜日金曜日の米国株式相場は続伸した(DJIA +222.24 @34,061.32, NASDAQ +184.09 @13,478.28, S&P500 +40.56 @4,358.34)。ドル円為替レートは149円台半ばでの動きだった。本日の日本株全般は上げる銘柄が多かった。東証プライムでは、上昇銘柄数が1,260に対して、下落銘柄数は372となった。騰落レシオは93.17%。東証プライムの売買代金は5兆1756億円。

TOPIX +38 @2,361
日経平均 +759円 @32,708円

米国では、10月の米雇用統計が弱い結果となり(非農業部門雇用者数は15.0万人増<市場予想18.0万人、<9月は29.7万人増)、失業率は悪化(3.9%>市場予想3.8%)した。米長期金利は10月には一時5.0%を超えたものが足元では既に下げて来ていたが、雇用統計の悪化を受けて米10年債利回りは前日の4.669%から4.577%へさらに低下した。もはや米連邦準備制度理事会(FRB)が追加利上げすることはなく、利上げサイクルの完了が少し早まるのではないかという期待が高まり、長期債利回りと株価の期待リターンを比べると株価の割高感が低下し、株が買い戻されて株価全般は上げた。ただ、米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業(サービス業)景況感指数も市場予想以上に低下しており、米景気の減速を示しているため、長期金利低下による株価上昇との綱引きを考慮する必要があるだろう。

米長期金利の低下を背景にした米国株の大幅続伸を受けて、日経平均も大幅続伸し、上げ幅は今年最大となった。米長期金利の低下を好感して、特に成長株である半導体関連銘柄が買われ、日経平均は一時、上げ幅を800円超にまで拡大した。また、日銀の植田和男総裁が名古屋での講演で緩和的な金融政策を継続する趣旨の発言をしたことも株価を後押しした。しかし、これは金利が上がると利益が増える傾向の銀行株には逆風となり、銀行株は売られて下げた。また、世界景気に敏感なため、業績の先行き不安が意識された海運大手3社も売り優勢となり、ギャップダウンして下げた。

日経平均の日足チャートを見ると、3営業日連続で窓を空けながら急騰しており「3空踏み上げ」となった。10月12日の戻り高値@32,494円を上抜けて、直近の下げ幅の前値戻し以上を達成したからには9月15日の戻り高値@33,634円が次の目標となる。定石的な判断では、上げるピッチが速すぎるため早く上昇エネルギーが枯渇してしまい、上昇が長続きしない。毎回定石通りの展開となるかどうかは、相場の背景により異なるだろう。株価は「生き物」だから常に定石通りには動かないが、定石を尊重すると期待値は高くなることだけは間違いない。長期金利の低下による株価押し上げ効果と景気減速による株価押し下げ効果の綱引きが始まったようだ。

33業種中27業種が上げた。上昇率トップ5は、非鉄金属(1位)、機械(2位)、輸送用機器(3位)、電気機器(4位)、サービス(5位)となった。

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