この「恋人よ」と、同じ体験をした。1980年の秋、この歌が流れている秋。東大の安田講堂に向かって、2人で黙って歩いていました。午後の日差しが傾きかけた頃でした。どうすることも出来ない2人。ただ、黙って歩いていました。
東大と言っても、日曜日は、誰もおりません。静かでした。本当に静かでした。銀杏の葉が黄色に色ずき、銀杏が、かなり多く落ちていました。三四郎池から安田講堂の横の坂を下り、東大付属病院の脇の出口を、何時もの様に石段を下り、無縁坂の方に歩き、そして忍ばずの池に歩きました。
そこから崖を上がり、西郷隆盛の像から、東京文化会館、上野動物園、西洋美術館、そして、上野公園の広場の噴水辺りまで歩きました。名残り惜しいという思いでした。ただ、そこには時間だけが、流れていました。
ほとんど無言でした。解決の糸口の無い2人。そして、私は上野から地下鉄銀座線で、浅草まで帰り、そこから、東部鉄道で桐生市まで、帰ったのでした。切ない思い出です。
恋人よ 五輪真弓
https://www.youtube.com/watch?v=2K1LlQhTCWg
今でも、彼女の事が時々、思い出されます。どうしているか。元気だろうか。
こんな事は、40年以上経過しても、憶えているものです。始めて会った事、その後の、幾つかの出来事が。