TOPIX -53 @1,948
日経平均 -611円 @27,222円
先週のシリコンバレー・バンク(SVB)の経営破綻に続き、今度はシグネチャー・バンクが経営破綻したことで、金融株全体が大きく続落してダウ工業株30種平均は下げた。これは株式相場にはマイナス要因だが、そもそもFRBの急速な利上げが直接の引き金となったこのような危機を前にして、米連邦準備制度理事会(FRB)が3月21~22日に開催する連邦公開市場員会(FOMC)ではさすがに利上げは見送るだろうという期待がハイテク成長株を支えたためナスダックは上げた。3月12日には米財務省とFRBが共同声明を発表し、SVBの預金について預金保険の範囲外も含めて全額を保護すると異例の決定をした。しかし、仮想通貨業界のメインバンクの一つであるシグネチャー・バンクも破綻したため、金融不安は拡大した。地銀のファースト・リパブリックの株価は62%も急落したが、シティバンクを抱えるシティーグループやバンクオブアメリカ株も6~8%安と急落した。地銀のコメリカは28%安、キーコープは27%安となった。大手銀行や主な地銀で構成するKBWナスダック銀行株指数は前週末比で12%安まで下げて、2020年11月以来の安値となった。
米国内の金融不安の拡大がまだ止まらないと見て、本日の日本株は大きく続落した。メガバンクや地銀株に加えて保険株が大きく売られた。円高・ドル安の進行を嫌気してトヨタ自動車も売られて2021年8月以来の安値を付けた。他方、インバウンド需要の期待でJR東日本など鉄道株は買われた。さらに間の悪いことに、日本郵政が傘下のゆうちょ銀行株の売り出し価格を1,131円に決定したと発表したが、その場合、売却総額は1兆2310億円になる。これだけの資金が株式市場から吸収されることを意味するため、現在手持ちの株を換金するためにかなりの株が売られると警戒感が高まった。
日経平均の日足チャートを見ると、3営業日連続で窓を空けながら急落して「三空叩き込み」を形成した。下値支持線として意識される2月22日安値@27,046円に迫るまでザラバでは大きく下げた。ここまで下げが急だと、すくなくとも一時的には自律反発狙いの買いが増えて下げ止まり、少しは反発するのが定石である。但し、常に定石通り株価が動くわけではないので、定石通りの読みをしながらもそれとは違った動きも常に想定しておき、そうなった場合に備えて予め心と建玉の準備をしておくことが肝要である。今回経営破綻した銀行は特殊な銀行であり、米国の銀行全体を根底から揺るがすようなシステミック・リスクではないと見ている。割と早期に事態は収拾に向かうのではないだろうか。
33業種中32業種が下げた。下落率トップ5は、当然ながら銀行(1位)、保険(2位)、鉱業(3位)、鉄鋼(4位)、証券(5位)となった。