小督さんのブログ
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『エデュケーション 大学は私の人生を変えた』
タラ・ウェスト―バー著、村井理子翻訳。
2018年に発行された『エデュケーション(Educated: A Memoir)』。
ビル・ゲイツ、オバマ夫妻に称賛され、全米400万部を超えるベストセラーだそうです。
ここ一年ほどエッセイを好んで読んでいる、
村井理子さんがらみで読んでみました
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政府や病院、公教育を否定するサバイバリストの両親のもとで育ったため、
著者のタラを含めた兄弟は学校にも行かず、医療機関に受診することもなく育ちます。
出生証明書すら取得していないタラが独学で大学への進学を志し、
本来の自分を取り戻すまでのサクセスストーリーだと思っていました。
ところがところが
両親は公教育の代わりにきちんとした教育を施すわけではなく、
安全管理が全くなされていない廃品回収やスクラップの家業を子どもたちに手伝わせ、
本意ではないといえ、家族は次々と深刻な怪我や事故を負います。
タラが兄から暴力を受ける様子が壮絶。
突然逆さづりにされる。
力任せに足首や手首の骨を折られる。
頭髪の根元から掴まれて顔を便器に突っ込まれる。
・・・引き込まれるように読んでしまいますが、
同時に脱力感に襲われました。
常識的な衛生観念すら与えてもらわなかった家庭を出て、
大学に進学すると決めてから、
顰蹙を買ったり恥をかいたりして戸惑いながらも、
心ある周囲に支えられて少しずつ普通の学生としての暮らしに馴染んで行きますが、
聡明で忍耐強いタラが着実に新たな人生を切り開いていく様は圧巻でした
これが実話でタラの回想録と言うから、驚かされます。
日本でもネグレクトと言えるような環境に置かれている子供が少なからずいるそうで、
いろいろ考えさせられました
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日本でも義務教育不要論を掲げる人が増えてきましたが、途上国では受けたくても受けられない子供が大多数です。
昔の日本でも貧乏な家の子は他所に働きにだされたようです。
TVドラマの「おしん」では幸いにも奉公先の人が良い人で読み書きそろばんを教えてくれ、主人公が後に大成功する基礎を作ってくれました。
確かに義務教育の選択肢が学校というハコモノ一択なのはこのネット社会でどうか、とは思いますが、教育を受けることで1番重要なのは「総合的な考える力」を養うことです。
その意味では改善の余地は多分にあっても、日本の義務教育はよく出来たシステムだな、とは思います^ ^