元祖SHINSHINさんのブログ
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「他人の顔」
彼の小説を、初めて読んだ。
中盤からいきおいオモロクなっていく。
その起伏は、ジョージ・オーウェル「1984」と似ている。
女に宛てた手記がメインになっている。
よってその内容は、一人称の主人公による独白がほとんどで、
心理描写の宝庫になっている。
そーいうネチネチしたのは、しつこくってウザいという向きもあろうが、
オイラにはオモロイ。
男はとても理性的で、女はとても感情的。
そして、男の努力の甲斐なくすれ違ってしまうのだ。
昭和43年に書かれたこの男女関係の構図は、現在でも相似だろう。
などと言ったら、怒る人もあるだろうけれど。
メインは手記だけれども、
それを利用した小説の展開に、妙がある。
なるほど、と思わせるフレーズも楽しい。
”未来とはつねに、過去からの演算にほかならない”
(P.149)とか。
★「他人の顔」
安部公房著 新潮文庫 S43.12.20.発行 H23.7.15.六十六刷
解説は、大江健三郎になっている。
オイラ、だんだん小説というものにハマってきたようだ。
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