映画ずきのしんちゃんさんのブログ

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ギリシャとユーロ




ロイターの報道によると、ユーロゾーンの政策担当者は、次第にギリシャ救済から、デフォルト後の銀行の支援に焦点を移しつつある、と報じられている。ギリシャが厳しい歳出削減の約束を守れないのであれば、デフォルトは避けがたい、といった声や、ヴェニゼロス蔵相がギリシャ国債を50%のヘアカットして「秩序あるデフォルト」をするほうがいいといったとの報道まで出ている。トリシェ総裁自身が主要国の国債がデフォルトしないという確信が「市場に存在しない」というようでは、いかんともしがたい。
メルケルドイツ首相がいうように、もしギリシャのデフォルトが起これば「ドミノ」現象が他のPIGSに波及し、ユーロの崩落が起こる可能性もあり、先行きは「予想が困難」である。まったくそのとおりであるが、評論家はいざしらず、政策を決める担当者の口から、そもそもこんな弱気やあきらめや投げやりな声が出るようでは、リスクをとって投資する側からみれば、怖くて投資できるものではない。指揮官は、どんなに敗色が強くても、勝てる作戦がある、と自信を見せなければならないものだ。戦争をしている時に、将軍が「負けそうだ」といった瞬間に、軍の士気が崩壊するのと同じだ。命をまとに戦っている兵卒には全体像がみえていないー情報が非対称ーだから、常に戦況に疑心暗鬼である。情報を握っている指揮官が弱気を吐けば、負け戦とみて、兵は命が惜しければ逃げる。まして兵士と違ってお金には忠誠心などかけらもない。この結果、恐怖心理が拡大伝播して、自己実現的な予言になってしまいかねない。どうもこの辺のやり方も、欧州の政策担当者には、いまひとつ厳しい戦争を指揮する能力にかけているのではないかと疑いたくなる。
いずれにせよ、EFSFの拡大強化にはドイツが気乗り薄であるとのことであり、ECBの買取拡大にもドイツ連銀が慎重だとか報じられており、債務危機を乗り切るメカニズムがちっともみえてこない。それが見えなければ、デフォルトの危機がある債権など誰が買うだろうか。中国すら買うのをためらっているという。結局問題は、「政治的意志」の問題だとわれているが、政治家がうだうだといってはっきりした対策をうちださないと、目先の利益だけをおっかけ、政治的結果など気にも留めない市場は、冷酷な仕返しをして予想もつかない「政治的事故」がおきてしまう危険があるのではないか。次々にデフォルトがおき、ユーロの崩落がおきるなんてことにならないよう、欧州政治家はまさに正念場にある。
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