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神戸物産のニュース
■今後の見通し
(2) 販売チャネルの拡大による新たな販路確立
販売チャネルの拡大による新たな販路として、ECサイトの立ち上げを計画している。「業務スーパー」が近隣にないため、商品を購入したくてもできない潜在顧客は全国に多く、こうした潜在顧客に対してECサイトを通じで商品を販売していくことにしている。
課題としては、FC加盟企業の店舗売上にマイナスの影響を与える可能性があること、物流コストが高くなることの2点が挙げられる。神戸物産<3038>の物流システムはケース単位を基本とし、個配には対応していないため個配作業のコストもかかる。こうした課題に対して、同社はECの販売価格を店舗価格よりもやや高めに設定することで解消したい考えだ。また、ECでは返品による物流コストも発生するが、返品については近隣の加盟店に持ち込んでもらうことでコストを抑制していくことも検討している。顧客ターゲットとしては「業務スーパー」が近隣にない顧客、または近隣にあっても利便性の点からECサイトで購入する顧客となる。2022年10月期中にECサイトの立ち上げを目指しており、今後の動向が注目される。
(3) 店舗数拡大
業務スーパー事業の成長戦略の1つである「店舗数の拡大」については、従前、1,000店舗の早期達成を目標として掲げていたが、2022年10月期中にも達成する見込みとなっており、次の目標として1,200店舗を視野に入れ始めている。
域別の人口構成比と業務スーパー店舗数の構成比を比較した場合、地盤となる関西圏は人口構成比で16.3%となっているのに対して、店舗数は26.8%と高い。一方、ここ数年で出店を強化してきた関東圏については人口構成比で28.9%、店舗数で27.1%とほぼ拮抗してきたが、店舗数そのものは関西地域とほぼ変わらないことを考えれば、出店余地は依然大きいと見ることができる。また、九州や北海道のほか東海エリア(愛知県、岐阜県、三重県)についても人口比での店舗数が少なく、出店余地が大きいエリアとなる。
関西エリアについては人口80千人当たりに1店舗を出店している計算となり、仮にほかのエリアでも同様の比率で店舗展開できたとするならば、1,500店舗までは出店できる計算となる。商圏の違いや出店条件に適う不動産物件の有無などで実際の上限値は変わってくるが、関西エリアでもまだ店舗数が増加し続けていることを考えると、出店拡大による成長は続くものと予想される。仮に、年間60店舗ペースの純増(年率5%成長)が続けば、2026年10月期には1,200店舗に到達する計算となる。
また、既存店向け商品出荷額の拡大施策としては、顧客に選ばれる魅力的なPB商品を継続的に開発していくことが重要で、今後もグループ会社における商品開発を強化していくほか、M&Aも活用しながらPB商品の構成比率を引き上げていく方針となっている。また、店舗運営のDX化に取り組むとともに、TVやSNS等の露出を活用することで集客力の維持向上を図っていく。
なお、同社は海外でのFC展開も将来的に視野に入れ、香港、ベトナム、シンガポール等で店舗展開や商品の販売に取り組んでいる。現在、香港では現地企業が業務スーパーの食料品を販売する店舗を2店舗出店している。現在はFC契約を締結しておらず、食料品の卸販売のみとなっているが、販売は好調のようで今後FC契約を締結する方向で検討を進めている。今後も良いパートナーが見つかれば、FC展開を進めていく可能性がある。
3. ESGの取り組みについて
同社はESGに関して以下の取り組みを推進している。
(1) 環境(E)
環境への取り組みについては、プラスチックごみや食品ロスの削減のほか、クリーンエネルギー事業や砂漠の農地化事業などによる地球規模の問題解決に取り組んでいる。
具体的な取り組みとしては、プラスチックごみ問題の配慮から業務スーパーオリジナルのエコバッグを作成し、2003年以降、累計で1,300万枚以上(2021年1月時点)の無料配布を行っているほか、食品ロス削減を目的として、品質に問題は無いが印字不良等により店舗で販売できない商品を認定NPO法人フードバンク関西に寄贈している。また、クリーンエネルギー事業では、国内で太陽光発電所を17ヶ所、木質バイオマス発電所を1ヶ所運営しており、再生可能エネルギーによって、CO2排出削減に貢献している。そのほか、国際社会貢献事業として、エジプトの砂漠地域でセンターピボット※農場を竣工し、2014年以降、小麦の栽培・収穫を行っており、援助を必要とする地域に寄付した。
※センターピボットとは、乾燥地域で大規模に作物を栽培するためにくみ上げた地下水に肥料を添加し、自走式の散水管に圧送して水をまく灌漑農法のこと。比較的低コストで効率良く灌漑できることが特徴である。
(2) 社会(S)
同社は「食」を通じた社会貢献活動を推進している。2012年以降、ハラール商品の充実を図り、現在は200アイテム以上の商品を取り扱っている。また、家庭の事情での孤食や食事を十分取ることができない子どもたちに、無料または低価格で食事を提供する子ども食堂への支援として、食材の提供だけでなく社員による調理支援などを2018年以降、開始している。ただ、コロナ禍で同様の支援の継続が難しくなったことから、子ども食堂への商品配送に形を変えている。そのほか、母子世帯を支援する団体「子ども元気ネットワークひょうご」を通じて、母子世帯への食品寄贈を継続的に行っている。
また、従業員満足度の向上を図るため、ワークライフバランス実現のための支援制度(リフレッシュ休暇、在宅勤務の推進、資格検定受験支援等)を整備しているほか、優秀な人材を確保していくため、人材採用において積極的な情報発信に取り組んでいる。
(3) ガバナンス(G)
企業として健全な発展を続けるとともに、社会のサステナビリティ実現に寄与するため、ガバナンスの充実を図ることを目的に、2022年10月期より現在の監査役会設置会社から監査等委員会設置会社に移行することを発表したほか、取締役会の任意の諮問機関として、「指名・報酬委員会」を2022年2月に設置することを決定している。今後も引き続きコンプライアンス体制や品質管理体制の充実・改善などに取り組んでいく方針となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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(2) 販売チャネルの拡大による新たな販路確立
販売チャネルの拡大による新たな販路として、ECサイトの立ち上げを計画している。「業務スーパー」が近隣にないため、商品を購入したくてもできない潜在顧客は全国に多く、こうした潜在顧客に対してECサイトを通じで商品を販売していくことにしている。
課題としては、FC加盟企業の店舗売上にマイナスの影響を与える可能性があること、物流コストが高くなることの2点が挙げられる。神戸物産<3038>の物流システムはケース単位を基本とし、個配には対応していないため個配作業のコストもかかる。こうした課題に対して、同社はECの販売価格を店舗価格よりもやや高めに設定することで解消したい考えだ。また、ECでは返品による物流コストも発生するが、返品については近隣の加盟店に持ち込んでもらうことでコストを抑制していくことも検討している。顧客ターゲットとしては「業務スーパー」が近隣にない顧客、または近隣にあっても利便性の点からECサイトで購入する顧客となる。2022年10月期中にECサイトの立ち上げを目指しており、今後の動向が注目される。
(3) 店舗数拡大
業務スーパー事業の成長戦略の1つである「店舗数の拡大」については、従前、1,000店舗の早期達成を目標として掲げていたが、2022年10月期中にも達成する見込みとなっており、次の目標として1,200店舗を視野に入れ始めている。
域別の人口構成比と業務スーパー店舗数の構成比を比較した場合、地盤となる関西圏は人口構成比で16.3%となっているのに対して、店舗数は26.8%と高い。一方、ここ数年で出店を強化してきた関東圏については人口構成比で28.9%、店舗数で27.1%とほぼ拮抗してきたが、店舗数そのものは関西地域とほぼ変わらないことを考えれば、出店余地は依然大きいと見ることができる。また、九州や北海道のほか東海エリア(愛知県、岐阜県、三重県)についても人口比での店舗数が少なく、出店余地が大きいエリアとなる。
関西エリアについては人口80千人当たりに1店舗を出店している計算となり、仮にほかのエリアでも同様の比率で店舗展開できたとするならば、1,500店舗までは出店できる計算となる。商圏の違いや出店条件に適う不動産物件の有無などで実際の上限値は変わってくるが、関西エリアでもまだ店舗数が増加し続けていることを考えると、出店拡大による成長は続くものと予想される。仮に、年間60店舗ペースの純増(年率5%成長)が続けば、2026年10月期には1,200店舗に到達する計算となる。
また、既存店向け商品出荷額の拡大施策としては、顧客に選ばれる魅力的なPB商品を継続的に開発していくことが重要で、今後もグループ会社における商品開発を強化していくほか、M&Aも活用しながらPB商品の構成比率を引き上げていく方針となっている。また、店舗運営のDX化に取り組むとともに、TVやSNS等の露出を活用することで集客力の維持向上を図っていく。
なお、同社は海外でのFC展開も将来的に視野に入れ、香港、ベトナム、シンガポール等で店舗展開や商品の販売に取り組んでいる。現在、香港では現地企業が業務スーパーの食料品を販売する店舗を2店舗出店している。現在はFC契約を締結しておらず、食料品の卸販売のみとなっているが、販売は好調のようで今後FC契約を締結する方向で検討を進めている。今後も良いパートナーが見つかれば、FC展開を進めていく可能性がある。
3. ESGの取り組みについて
同社はESGに関して以下の取り組みを推進している。
(1) 環境(E)
環境への取り組みについては、プラスチックごみや食品ロスの削減のほか、クリーンエネルギー事業や砂漠の農地化事業などによる地球規模の問題解決に取り組んでいる。
具体的な取り組みとしては、プラスチックごみ問題の配慮から業務スーパーオリジナルのエコバッグを作成し、2003年以降、累計で1,300万枚以上(2021年1月時点)の無料配布を行っているほか、食品ロス削減を目的として、品質に問題は無いが印字不良等により店舗で販売できない商品を認定NPO法人フードバンク関西に寄贈している。また、クリーンエネルギー事業では、国内で太陽光発電所を17ヶ所、木質バイオマス発電所を1ヶ所運営しており、再生可能エネルギーによって、CO2排出削減に貢献している。そのほか、国際社会貢献事業として、エジプトの砂漠地域でセンターピボット※農場を竣工し、2014年以降、小麦の栽培・収穫を行っており、援助を必要とする地域に寄付した。
※センターピボットとは、乾燥地域で大規模に作物を栽培するためにくみ上げた地下水に肥料を添加し、自走式の散水管に圧送して水をまく灌漑農法のこと。比較的低コストで効率良く灌漑できることが特徴である。
(2) 社会(S)
同社は「食」を通じた社会貢献活動を推進している。2012年以降、ハラール商品の充実を図り、現在は200アイテム以上の商品を取り扱っている。また、家庭の事情での孤食や食事を十分取ることができない子どもたちに、無料または低価格で食事を提供する子ども食堂への支援として、食材の提供だけでなく社員による調理支援などを2018年以降、開始している。ただ、コロナ禍で同様の支援の継続が難しくなったことから、子ども食堂への商品配送に形を変えている。そのほか、母子世帯を支援する団体「子ども元気ネットワークひょうご」を通じて、母子世帯への食品寄贈を継続的に行っている。
また、従業員満足度の向上を図るため、ワークライフバランス実現のための支援制度(リフレッシュ休暇、在宅勤務の推進、資格検定受験支援等)を整備しているほか、優秀な人材を確保していくため、人材採用において積極的な情報発信に取り組んでいる。
(3) ガバナンス(G)
企業として健全な発展を続けるとともに、社会のサステナビリティ実現に寄与するため、ガバナンスの充実を図ることを目的に、2022年10月期より現在の監査役会設置会社から監査等委員会設置会社に移行することを発表したほか、取締役会の任意の諮問機関として、「指名・報酬委員会」を2022年2月に設置することを決定している。今後も引き続きコンプライアンス体制や品質管理体制の充実・改善などに取り組んでいく方針となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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