日本株は戻り売りスタンス

著者:西村剛
投稿:2015/09/03 20:10

日本株は上値が重い可能性が高い

8月第4週の投資主体者別売買動向が発表されました。8月第4週と言えば、日経平均株価が19435円から一時17714円まで下落した記憶に新しいあの暴落局面です。あのときの暴落で誰が株を売り、誰が株を買ったかを見ておくことで、これから株価がどのように動くか考えてみましょう。

まずは外国人投資家です。

外国人投資家は1兆8831億円の売り越しとなっています。内訳は現物7070億円の売り越し、先物1兆1760億円の売り越しです。

次に個人投資家です。
個人投資家は2674億円の買い越しとなっています。内訳は現物4277億円の買い越し、先物1603億円の売り越しです。

最後に信託銀行です。
信託銀行は5155億円です。内訳は現物2631億円の買い越し、先物2524億円の売り越しです。

このデータから読み込めることは、今回の暴落は、外国人投資家が日本株を大幅に売り越し、信託銀行と個人投資家が買い向かった相場だったということです。このデータはちょっと注意が必要です。というのも、今回の暴落で日本株を一番大きく買ったのが信託銀行だからです。

信託銀行は傾向として、全体のポートフォリオにおいて株式の割合を一定にするため、株価が下がれば株を買い増し、株価が上がれば株を売却する傾向にあります。したがって、ここから株価が仮に上昇してきた場合、信託銀行は株を売り越す可能性が高く、したがって株価の上値が抑えられやすいと考えられるでしょう。また個人投資家も過去のデータをみても、「株価が下がれば買い、上がれば売る逆張り思考が強い性質があります。ですので、今回の暴落では、「株価は短期間で大きくは戻らない」のではないかと考えています。

唯一、日本株が大きく戻すとするならば、1兆8831億円日本株を売り越した外国人投資家が、日本株を急速に買い戻した場合なのですが、日々公表される外資系証券寄付き前動向を見る限り、依然売り越しが続いており、日本株を大きく買ってくる気配はありません。

ですので、今の段階では私は日本株について、「短期的には暴落からのリバウンドが終了し、再度下落トレンドに転じる可能性が高い」と考えています。

もちろんこれから株価が上がるか下がるかは誰にも分かりません。けれどもここ1,2年、半ば常識であった「株は上がるもの」といった考え方を改め、株価は上がるか下がるか分からないといったスタンスで運用することが必要な段階かもしれません。

3日の日経平均株価は、上値が重い展開が続き小幅安になると予想します。
西村剛
フェアトレード株式会社 代表取締役
配信元: 達人の予想