決算佳境で個別物色、日経平均は昨年来高値トライ

著者:冨田康夫
投稿:2015/01/30 21:12

来週の東京株式市場見通し

 来週の東京株式市場は、4~12月期決算の発表が佳境を迎えることから、その内容を吟味しながらの個別株物色が活発化することになる。個別銘柄への買いエネルギーが市場全体を押し上げることになれば、株価指数も昨年来高値を更新してくることになりそうだ。日経平均株価の想定レンジは1万7400~1万8100円とする。

 市場関係者からは「30日に、通期連結営業利益を下方修正したホンダ<7267>は例外で、自動車、電機、精密機器といった輸出関連の主力企業の大半は円安恩恵を受け、来期業績にも追い風が継続しそうだ」との見方が出ていた。ただ、週後半は、米1月の雇用統計を前に手控えムードが強まりそうだ。

 チャート面では、きょう突破できなかった28日の取引時間中の高値(1万7850円)を上回ってくると、新たな上昇局面を迎える可能性が浮上する。昨年12月8日の取引時間中の高値1万8030円更新が射程圏に入ってくる。

30日の動意株

 HOYA<7741>=後場一段高。
同社が後場取引時間中に発表した第3四半期累計の連結決算は売上収益が3625億2000万円(前年同期比16.1%増)、最終利益738億5100万円(同61.7%増)と大幅な伸びを確保した。スマートフォンの普及加速を背景に半導体関連製品の販売が伸びて収益に貢献した。また、同時に自己株式を除く発行済み株式総数の1.77%に相当する750万株、300億円を上限とする自社株買いを発表(取得期間は2月2日~5月1日)、これを好感するかたちで買いが勢いを増している。

 三晃金属工業<1972>=後場終盤に入り急上昇。
午後2時ごろに15年3月期の連結業績見通しについて、売上高を従来予想の341億円から343億円(前期比3.8%増)へ、営業利益を14億6000万円から17億7000万円(同21.6%増)へ、純利益を8億5000万円から11億3000万円(同6.5%減)へ上方修正しており、これを好感した買いが集中している。工事原価管理強化により完成工事総利益が前回の想定を上回る見通しとなったことが要因。

 サダマツ<2736>=ストップ高。
引き続き28日に発表した中国からの観光客向けO2Oの展開に対する期待感から買いが向かっている。同社では28日、中国テンセント社が運営する無料メッセージ・通話アプリの「WeChat」内で越境型モバイルEC「微講物日本館」を展開するウィ・ジャパン(東京都中央区)と共同で、中国からの観光客向けO2O事業を展開すると発表。訪日客のインバウンドO2Oは日本では珍しいことから、市場の関心も高いようだ。

 ショーワ<7274>=急反発。
同社は29日取引終了後、15年3月期の連結業績予想を下方修正したが、アク抜け感から買いが先行。15年3月期は前回予想の売上高2680億円を2710億円(前期比0.7%減)、営業利益178億円を167億円(同17.4%減)へ減額。最終利益は93億円(同35.6%増)で据え置いた。四輪車用製品とステアリング製品の販売が減少し、第3四半期決算が減収大幅減益になったことから通期計画を見直した。為替レートは通期平均で1ドル=109円、1人民元=17.7円を前提にしている。

 MonotaRO<3064>=急反発。
同社は29日取引終了後に、15年12月期通期の連結業績予想を公表。営業利益は60億300万円(前期比38.8%増)を見込み、年間配当を20円(前期は14円)に増配する方針を明らかにした。売上高は556億1700万円(同23.8%増)を予想。顧客基盤の拡大に対応する取扱商品点数の拡充や、より精度の高いデータマイニングにもとづくプロモーション活動などに注力するとしている。

 フォスター電機<6794>=急騰。
同社は29日の取引終了後、15年3月期の連結業績見通しについて、売上高を従来予想の1720億円から1850億円(前期比10.4%増)へ、営業利益を同68億円から93億円(同54.5%増)へ、純利益を同36億円から48億円(同2.1倍)へ上方修正したことを好感。オーディオ用ヘッドホンや薄型テレビ用スピーカ、車載用スピーカなどの製品が総じて生産、出荷ともに好調に推移したことや、円安の進行で売上高が想定を上回ったことに加えて、品質改善や工場稼働率の上昇による原価改善が寄与した。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想