年初来高値にトライ、米景気と欧州金融緩和が支援

著者:冨田康夫
投稿:2014/11/28 20:44

来週の株式相場見通し

 来週の東京株式市場は、11月14日につけた取引時間中の年初来高値1万7520円にトライする堅調な展開となりそうだ。この水準を突破してくると、一段高に進む可能性もありそうだ。日経平均株価の想定レンジは、1万7200~1万7800円とする。

 今週は、外国人投資家の買いがややスローダウンするなかで、売買代金も減少傾向となり、心理的なフシ目でもある1万7500円に迫りながらも突破できずに足踏み状態が続いた。

 米感謝祭明けで年末商戦が本格化する現地11月28日の「ブラックフライデー」の消費動向が好調なものとなれば、米景気の先行きに期待感が広がりそうだ。さらに、現地4日開催の欧州中央銀行(ECB)理事会で、ドラギ総裁が量的金融緩和に向けて積極的な姿勢を強める可能性が指摘されている。また、原油価格の下落は、空運、海運、化学などのセクターに追い風となりそうだ。

28日の動意株

 OSJBホールディングス<5912>=大幅高。
旧日本橋梁の時代から材料株素地に富み、短期資金の注目度が高い銘柄。ここにきて「国土強靭化などを背景とした橋梁の改修工事需要を拠りどころに投機性の強い資金の流入が観測されている」(市場関係者)もようだ。同社株は首都高速の大規模改修工事が認可されたのを起爆材料に、前週末21日マドを開けて急伸、その後売買高を減少させるも株価は下押す気配がなく、きょう改めて買いが流入した。

 飛島建設<1805>=急伸。
JR東海<9022>はリニア中央新幹線の工事を12月17日に着手すると発表、これを受けきょうは建設関連株が改めて物色人気に沸く展開となっている。そのなか、同社はトンネル工事に強く、山梨県実験線の延伸工事ではトンネルおよび橋梁工事に参画した実績を持っていることもあって、関連有力株として株価の感応度が高い。足もとの業績も好調、防災工事などでも時流をとらえて豊富な受注を確保し、15年3月期営業利益は前期比28.2%増の22億円が見込まれている。

 マミヤ・オーピー<7991>=後場急伸。
同社はきょう午後1時に、GPS技術に最新の制御技術を融合させた自律走行システム「I-GINS」を16年3月期中に市場投入するべくマーケティング活動を本格的にスタートさせると発表。これが材料視されているようだ。I-GINSはまず、米国の芝刈り機メーカーであるジャコブセン社の芝刈り機に搭載して「芝刈りロボット」として販売する計画。18年3月期には売上高で約20億円の達成を目標としている。

 レアジョブ<6096>=大幅続伸。
同社は27日に、ビズリーチ(東京都渋谷区)が手掛ける暗記帳アプリ「zuknow(ズノウ)」に「レアジョブ英会話」のコンテンツ提供を開始すると発表。ユーザー数の拡大などが期待されているとみられるほか、自民党の選挙公約に小学校英語教育の早期化が盛り込まれていることも人気化につながっているようだ。

 インタースペース<2122>=一時、ストップ高。
同社は27日に、子会社を通じてインドネシア大手ポータルサイト「detik.com」を運営するPT.Agranet Multicitra Siberkomと業務提携すると発表。海外展開などへの期待感が高まっているようだ。detik.comは、1日あたり500万人以上のユニークビジター数と1日あたり約7000万PVを誇るニュースサイト。同社は業務提携で、detik.comに対してアフィリエイトサービス「ACCESSTRADE」を独占提供する。

 ケンコーマヨネーズ<2915>=大幅続伸。
同社は27日、東芝<6502>の植物工場「東芝クリーンルームファーム横須賀」で生産した野菜に同社製の粉末ドレッシングを添付したコラボレーション商品を、子会社のサラダカフェが運営するサラダ専門店「Salad Cafe」12店舗で、28日から販売を開始することを発表した。今回のコラボ商品は、クリーンルームで生産された栽培時農薬不使用の野菜を1人食べ切りサイズのカップ容器に入れ、粉末ドレッシングを添付する形態となっている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想