決算本格化で個別物色、FOMC声明文が焦点

著者:冨田康夫
投稿:2014/10/24 19:53

株式相場見通し

 来週の東京株式市場は、引き続き海外株式市場や外国為替相場の動向に左右される波乱展開が予想される。ただ、4~9月期の決算発表が本格化することから、通期業績を上方修正する銘柄を中心に、個別銘柄を買う動きは顕在化しそうだ。全般は値固めから上値を模索する推移を予想する。来週の日経平均株価想定レンジは、1万4800~1万5600円とする。

 市場関係者の関心は、28~29日に開催予定の米連邦公開市場委員会(FOMC)に集まっている。量的緩和第3弾(QE3)は終了する見込みだが、声明文で超低金利政策をどの程度の期間維持するかなど、今後の対応がどう表現されるかで相場の方向が変わってきそうだ。

24日の動意株

 日立国際電気<6756>=急反発。
同社は23日の取引終了後、15年3月期第2四半期累計(4~9月)決算を発表。連結売上高で従来予想の715億円が739億7600億円(前年同期比17.5%増)に、営業利益40億円が57億3600万円(同3.2倍)となった。通期は連結売上高で従来予想の1710億円から1720億円(前期比2.8%増)へ、営業利益で150億円から160億円(同5.7%減)へ上方修正、これを好感している。映像・無線ネットワーク部門で公共工事分野が堅調に推移、エコ・薄膜プロセス部門で、一部の半導体メーカーに積極的な投資が行われたことが寄与している。

 栄研化学<4549>=大幅高。
23日の取引終了後に発表した第2四半期累計(4~9月)連結決算が、売上高158億1900万円(前年同期比5.0%増)、営業利益18億5500万円(同13.3%増)、純利益13億4900万円(同24.4%増)と2ケタ増益となったことが好感されている。国内では、一般検査用試薬で全自動尿分析装置用の専用試験紙「ウロペーパーα3」や、大腸がん検診用の便潜血検査用試薬が売り上げ増に貢献したほか、海外では北米、欧州、アジアにおける便潜血検査用試薬・装置や、イタリアでの全自動尿分析装置・専用試薬が貢献。

 きちり<3082>=急動意。
関西を地盤にカジュアルダイニングを手掛け、関東にも進出、女性を主要ターゲットとする居酒屋「きちり」やハンバーグ専門店「いしがまやハンバーグ」などを展開し業績は好調に推移している。15年6月期は営業利益段階で前期比45.7%増の7億円を見込む。発行株数1000万株強で独特の品薄感から値動きは速く、折に触れ短期資金の流入を誘う。

 コメ兵<2780>=反発。
中古ブランド品や宝飾品を中心にネット経由での販売が好調、第1四半期(4~6月)こそ消費増税前の駆け込み需要の反動に見舞われたものの、第2四半期以降は急速に回復色を強めている。「訪日観光客増加に伴い免税売り上げの増加が足もと会社側の想定を上回る好調ぶり」(中堅証券アナリスト)で同社株高を支援している。訪日観光客需要は今後も中期的に収益貢献が見込まれるほか、円安による仕入れコスト上昇の影響にさらされにくい収益構造であることも評価されているもようだ。

 いい生活<3796>=大幅高で年初来高値。
同社は不動産物件情報などの検索支援システムを販売するが、23日取引終了後、15年3月期通期の連結業績予想の修正を発表した。売上高は従来予想の18億8200万円から18億3800万円(前期比1.0%増)、営業利益は3300万円から9400万円(前期実績は1100万円の赤字)、最終利益は1200万円から5200万円(同3600万円の赤字)に修正した。売上高はわずかに下方修正したものの、利益は増額となった。サービス開発や営業活動において業務効率化を推進した効果が利益に反映されており、これを素直に好感している。

 パス<3840>=ストップ高。
同社は23日取引終了後、決済事業の拡大を目的にEC事業に参入すると発表。既存事業との相乗効果などが期待されているようだ。同社は、従前からECサイトなど運営事業者向けにオンライン決済サービスを展開。EC事業に参入することで、運営事業者の商材調達や販促支援などに関わるニーズの取り込みを目指す。なお同社はあわせて、EC事業の早期展開を図るため、同事業のノウハウや実績を持つジークス(東京都渋谷区)との共同出資で新会社を設立することも発表している。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想