上にも下にも材料不足…!?

著者:武市佳史
投稿:2014/07/23 10:30

リスク回避は一服だが…

※ご注意:予想期間は7月24日と表示されていますが、本日(7月23日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。

地政学的リスクを背景としたリスク回避は一服となり、昨日も17日に構築された円買いポジションを解消する動きが昨日も先行しました。このためやや上値を拡大する展開でしたが、「101.50-60円」に控えるドル売りオーダーをこなしきることができませんでした。

注目の米消費者物価指数は8ヶ月連続の上昇(+0.3%)となったものの、コアが予想を下回り(+0.1%)ました。この影響で早期の利上げ期待は後退となり、米10年債利回りの急低下(2.500%⇒2.458%)につれて、ドル円は上値を削っていきました。もっとも年率換算(+2.1%)はインフレ警戒を完全に後退させるほどではなく、その後に発表された米中古住宅販売件数が予想を上回ったこともあって、買い戻されていきました。こうして上値も下値も限定され、レンジから脱却する気配が見られないまま、昨日の取引を終えています。

下値は堅いが、上値追いも限定される…?

「101.50-60円」に控えるドル売りオーダーは分厚く、こなしきるのはかなりの困難を要すると見られます。「来年の利上げをFRB(米連邦準備制度理事会)が示唆」しつつも、「低金利はしばらく継続」とする中、「それを覆すだけのインフレ圧力が確認できない」のが現在の状況です。このため“株高の連鎖”等によるリスク許容度の改善は期待されるものの、米10年債利回りが上向かない状況での上値追いは限定されると見るのが自然です。

結局、上にも下にも材料不足…

地政学的リスクが一気に高まるケースは回避されており、リスク回避が円買いを押し進めるケースは現時点では想定しづらいところですが、上値追いもいかにも材料不足です。下値がより堅いとの見方は変わっておりませんが、もう少し時間がかかるかもしれません。本日は主だった材料が見当たりませんので、明日(米新築住宅販売件数)/明後日(米耐久財受注)辺りに期待したいところです。

ドル円 抵抗・支持ライン

上値5:101.987(200日移動平均線、日足・一目均衡表先行スパン上限/下限、大台)
上値4:101.889(7/8高値、ピボットハイブレイクアウト)
上値3:101.813(50日移動平均線、7/16高値、7/9高値)
上値2:101.691(7/17高値、ピボット2ndレジスタンス)
上値1:101.596(7/22高値、20日移動平均線、ピボット1stレジスタンス)
前営業日終値:101.453
下値1:101.334(7/22安値、ピボット1stサポート)
下値2:101.197(7/21安値、ピボット2ndサポート)
下値3:101.067(7/10安値、7/18安値、ピボットローブレイクアウト)
下値4:100.824(5/21安値)
下値5:100.752(2/4安値)

※ユーロ円やユーロドルなど、他の通貨ペアの抵抗・支持ラインは〔マーケット・チェック15分Webセミナー〕にて公開。

11:17 ドル円 抵抗・支持ライン追加
武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想