“揺れ動き”と見るが、“下値の堅さ”は変わらず…!? - ドル円

著者:武市佳史
投稿:2023/09/12 10:51

◆ “窓空け”その後も“下値模索”… - 一時“146円割れ”


「年内の金融政策修正に関する可能性」について言及した週末の植田日銀総裁発言(インタビュー記事)を背景に、週初オープニングは“窓空け(ギャップダウン)”を演じました。
一方で「人民元安定化に向けた声明」を中国当局が発表したこともあり、主に対人民元にて“ドル売り”が目立ちました。
さらに「9月利上げ見送り」との米FEDウォッチャーによる観測記事も後押しとなった印象があります。
こうして“円買い+ドル買い”の双方から売り圧力がかかったドル円は、東京タイム終盤には“145.895円”まで下値を拡大するに至っています。

ただ13日に米CPIを控える中、米10年債利回りが再び“4.3%台”へと緩やかに上昇したことで、欧州タイム中盤には“147円手前(146.980円)まで押し戻されるなど、一方向への動意は限定されているのが実状といえます。
その後は“4.27-29%”で揺れ動いた米10年債利回りに呼応する格好で、ドル円は“146円半ば中心”となり、そのまま昨日の取引を終えています。

◆ ただ“円買い”の持続性については…?


「円安けん制発言」に、前記した「植田総裁発言」と、ここに来て円売りを阻害する要因が立て続けに台頭しているのが実状といえます。
ただ昨日も記したように、前者に関しては「実弾介入リスクはさほど大きくない」と見られる中、後者に関しても「強まる円売り安心感阻止が目的」との見方が少なくありません。
このため「早期金融政策正常化」をテーマとする“円買い”については、その持続性についてはやはり疑問と見ざるを得ないのが実状ということになります。

◆ それでいて“ドル主導”だと動きづらい…!?


そうなると“円主導”ではなく“ドル主導”ということになりますが、ただ明日には米CPIを控えています。
“様子見ムード”が漂う中ですので、基本的には“揺れ動き(膠着)”と考えるのが妥当でしょう。
ただ“下値の堅さ”については、引き続き“際立つ展開”を想定したいところです。

◆ ドル円 抵抗・支持ライン

※ボラティリティが拡大していますので、いつもより値幅を拡大しています。

149.082(22/10/25高値)
149.000(大台)
148.836(22/10/31-11/1高値)
148.672(ピボットハイブレイクアウト)
148.441(22/11/3-4高値)
148.000(大台、ピボット2ndレジスタンス)
上値5:147.861(9/8高値《年初来高値》、+2σ)
上値4:147.283(9/11高値、ピボット1stレジスタンス)
上値3:147.107(+1σ、9/8~9/11の61.8%戻し)
上値2:146.980(9/11安値後の戻り高値、大台)
上値1:146.682(9/11安値後の戻り高値後の下落に対する61.8%戻し)
前営業日終値:146.591
下値1:146.369(20日移動平均線)
下値2:146.151(日足・一目均衡表転換線)
下値3:146.000(大台)
下値4:145.895(9/11安値、ピボット1stサポート)
下値5:145.747(9/1~9/8の61.8%押し)
145.556(-1σ)
145.436(8/7~9/8の38.2%押し)
145.202(ピボット2ndサポート)
145.000(大台)
144.687(8/7~9/7の50%押し、日足・一目均衡表基準線、-2σ)
144.508(ピボットローブレイクアウト)
144.441(9/1安値)
144.359(8/11安値)
144.120(7/28~9/8の38.2%押し)

《10:30》

武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想