金利上昇≠買いの理由

著者:比嘉洋
投稿:2018/01/31 20:52

FOMCはタカ派?

米10年債利回り
一般的に長期金利の上昇は、その国の通貨の買いに繋がります。ただ、常にそうかと言うとそれは「違う」となります。ご存知の通り、米10年債利回りは約3年9ヶ月ぶりに2.7%台に上昇しました。急激な金利上昇は住宅・自動車といったローン金利に即座に反映されていきます。これまで低金利で月々の支払いが少ない金額で済んでいたわけですが、ある日突然、一気にその支払額が増額されたらどうなるでしょう。お分かりかと思いますが、個人消費は落ち込み→GDPにも影響を与える(米国のGDPの7割は個人消費が占めるからです)こととなり、ドル売りといった連想に繋がるわけです。

また、本来債券と株価は逆相関にあります。一昨日より金利が上昇したことを嫌気して株式市場も連日大幅安となっています。これまで各プロダクト間での相関性が薄れていましたが、その相関性が意識されるようになれば、金利上昇→株安でドル円の上値が抑えられることになりそうです。

日本時間明日4時にFOMCの結果が発表されます。イエレン議長最後の会合です。今回の会合では、政策金利は現状維持となることがコンセンサスとなっていますが、声明はタカ派寄りを期待する声も多くなっているようです。このところのドル安がインフレを押し上げていることを勘案、予防的措置の意味合いからタカ派になるのでは?というものです。

仮に市場が米国の今年の利上げを年3回→4回に変更した場合、さらなる長期債利回り上昇→株式市場はリスク縮小→そこに期末を控えた本邦勢の保有米債の損切りが重なるようだと、ドル円相場急落となる可能性があり、その際には昨年9月の107.30円も視野に入ってくると思われます。あくまでもリスクシナリオですが、頭の片隅にとどめておいていただけたらと思います。
比嘉洋
マネースクエア シニアコンサルタント
配信元: 達人の予想