不安より期待が大きい米GDP…!?

著者:武市佳史
投稿:2017/07/28 10:53

◆ドル売り一服も、方向感定まらず…

※ご注意:予想期間は7月29日と表示されていますが、本日(7月28日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。


FOMC後のドル売りは“一服”となり、NYタイム中盤にかけて買い戻されました。
決算への期待感から“日経平均は続伸”、米10年国債利回りは“2.30%を回復”し、さらに“米4-6月GDP速報値への期待感(3%台の伸びを見せる…?)”が台頭したも相俟って、ドル買い戻しが促されたからです。
東京タイム中盤につけた安値(110.781円)から、“およそ1円”の買い戻しを演じています。

一方で、FOMC後のドル売りは根強いものがあります。
「(為替操作国には)為替介入の可能性」を示したムニューシン米財務長官発言、「国境税の導入見送り」を示唆した米共和党発表も重荷となり、上値は押さえられ続けています。
再び111円ラインを割り込む場面も見られるなど、方向感は定まらないまま、昨日の取引を終えています。

◆米4-6月GDP速報値は“低インフレの継続性”を探る上で重要

こうした状況下、本日は前記した“米4-6月GDP速報値”が行われます。
“ハト派”とされたFOMCですが、実際には“強弱入り混じる”内容であったと見られます。
囃されたのは“より慎重になったインフレ動向”ですが、ただ“先行き”は前回と変わっておらず、引き下げられたのは“現状認識”でした。
にもかかわらず“ハト派”とされたのは、“低インフレが継続⇒米金融正常化が遅延⇒ドル売り”との思惑が働いたからと見られます。
つまり“低インフレが継続”の正否を探る上で、“米4-6月GDP速報値”はかなりの注目を集めると見られます。

◆“週末を控えた利益確定売り(ドル買い戻し)”を考えると…!?

仮に事前予想(年率+2.6%)を下回ると、“米金融正常化が遅延⇒ドル売り”が再燃するのは否めません。
一方で上回るようなことがあると、“FOMC後のドル売りは往き過ぎ(下げ過ぎ)”との見方が台頭してもおかしくありません。
すでに「FOMC後の動きは過剰反応」と一部では認識されているように感じますが、上値を押さえ込まれた昨日の動向を見る限り、現時点では“あくまで少数意見”の域を出ていないと考えざるを得ません。
つまり裏を返せば“買い戻しが加速してもおかしくない”ということになります。

あとは結果次第となりますが、1-3月期が“3四半期ぶりの低成長(+1.4%)”だったことを考えれば“可能性は十分”。
“連日の年初来高値更新”を対ドルで見せているユーロや豪ドル、NZドル等には、“週末を控えた利益確定売り(ドル買い戻し)”の懸念もついて回ります。

イメージ的には「依然として下方向(ドル売り)」は根強いものがありますが、「戻り売りではなく、押し目買い」で臨みたいところです。

◆ドル円 抵抗・支持ライン

上値5:112.182(7/26高値、ピボット2ndレジスタンス)
上値4:112.078(200日移動平均線、大台)
上値3:111.709(7/27高値、ピボット1stレジスタンス)
上値2:111.647(日足・一目均衡表転換線、50日移動平均線)
上値1:111.557(100日移動平均線)
前営業日終値:111.300
下値1:110.957(7/27高値後の押し目、大台)
下値2:110.781(7/27安値、ピボット1stサポート)
下値3:110.618(7/24安値)
下値4:110.367(日足・一目均衡表先行スパン下限、ピボット2ndサポート)
下値5:110.248(50週移動平均線)

※ユーロ円やユーロドルなど、他の通貨ペアの抵抗・支持ラインは〔マーケット・チェック15分Webセミナー〕にて公開。

11:05 ドル円 抵抗・支持ライン追加
武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想