ドル売り優勢の流れだが、円売りも残りやすい…!?

著者:武市佳史
投稿:2017/07/18 11:30

◆弱い米経済指標で急落 - 下値を探る動き

※ご注意:予想期間は7月19日と表示されていますが、本日(7月18日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。


先週末のドル円は113.60円水準で推移していたものの、弱い米経済指標(消費者物価指数&小売売上高)を受けて一気に112.30円水準へと売り込まれました。
東京市場休場となった昨日も、概ね上値の重い動きを強いられました。
ロンドン・フィキシングに向けてやや買い戻されましたが、本日に入ってから再び下値を探る動きを見せています。

◆“ドル売り”が続く中、“円売り”の台頭具合がカギ

米年内利上げ観測が後退しつつありますので、“ドル買い圧力はしばらく弱まる”という可能性が指摘されるところです。
ユーロドルが1.15ドルを超えてきただけに、“ドル売りが強まる”という可能性まで指摘されるところです。

一方で「金融政策の正常化争いの先頭はドル⇒最後方は円」という図式は変わっていませんので、“金利選好志向⇒円売り”というフローはしばらく続くと考えられます。
つまり「“ドル売り”が続く中、燻り続ける“円売り”がどこまで台頭するか…?」という展開が想定されるところです。

◆“金融正常化争い”に再びスポットライトが当たりやすいスケジュール感

こうした中、今週の注目は“日銀金融政策決定会合&欧ECB理事会(いずれも20日)”となります。
前者には「2017年度物価見通し引き下げ&2%物価目標の達成時期先送りの有無」が、一方で後者には「量的緩和策縮小の地ならしの有無」がそれぞれ注目されており、思惑との乖離具台で揺れ動く展開が想定されるところです。
それでも“金融正常化争い”に再びスポットライトが当たりやすくなっているのは事実であり、そうなると「最後方を走る円にはさらに売り圧力」がかかっても何らおかしくはありません。

◆テクニカル的には“さらなる下落”も懸念されるが…!?

テクニカル的には“20日移動平均線(本日は112.693円)”を明確に割り込んでいますので、“50/100/200日移動平均線”がほぼ重なる“111.85-77円水準”へのさらなる下落は懸念しておかなければならないところです。
しかし先週末安値(112.270円)は“6/14~7/11の38.2%押し”とほぼ合致しており、仮に割り込んだとしても前記次なるサポートラインまでは50銭程度となります。
さらにすぐ下には同50%押し(111.640円)”も控えています。

ドル主体で見ると「さらなる下攻めは不思議ではない」ということになりますが、マーケット全体を見れば「金利選好の円売りは残りやすい」…。
それでいて強力なサポートラインまで「わずか“50銭”程度」…。
流れに逆らう形にはなりますが、「この水準では積極的に買い拾い」と考えたいところです。

◆ドル円 抵抗・支持ライン

上値5:113.571(7/13-14高値)
上値4:113.381(7/11~7/14の50%戻し、日足・一目均衡表転換線、ピボットハイブレイクアウト)
上値3:113.119(7/11~7/14の38.2%戻し、ピボット2ndレジスタンス)
上値2:113.000(大台)
上値1:112.862(7/17高値、ピボット1stレジスタンス)
前営業日終値:112.615
下値1:112.496(7/14安値後の61.8%押し)
下値2:112.270(7/14-17安値、6/14~7/11の38.2%押し水準、ピボット1stサポート)
下値3:112.174(7/3安値)
下値4:112.000(大台、週足・一目均衡表先行スパン上限、100週移動平均線、ピボット2ndサポート)
下値5:111.775(200/100/50日移動平均線、ピボットローブレイクアウト)

※ユーロ円やユーロドルなど、他の通貨ペアの抵抗・支持ラインは〔マーケット・チェック15分Webセミナー〕にて公開。

11:43 ドル円 抵抗・支持ライン追加
武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想