ネガティブサプライズを受けての今後の方向性&「月足」も転換済  トレードタイム

著者:平野朋之
投稿:2017/06/05 11:38

■先週までのレビュー 〜 今後の展開について

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■先週までのレビュー
ADP雇用統計の結果、予想以上に強く、週末の雇用統計に期待が集まりましたが、雇用統計の結果は、13万8000人増と前月から失速すると同時に予想の18万5000人増を大きく下回る結果となりました。
また、失業率に関しては16年ぶりの低水準に改善されました。
過度な期待が失望に変化し、ドル円は急反落し、110円ミドルまで押し戻されました。



■「雇用統計の結果は衝撃的!」追加利上げのピッチに懸念も

先週末の雇用統計の結果、非農業部門雇用者数は、予想を大幅に下回り、ADPとは対照的な結果となりましたが、FRBが目指す月間平均10万人増はキープした格好となっているので、それほど悲観するものではないと考えています。

しかし、ドルは思いの他売られました。
この要因の1つは、これだけ雇用情勢はFRBが描く上昇トレンドを描いているにも関わらず、一向に賃金上昇においては足踏み状態が顕著なものになっています。結果的には前月比で0.2%増と予想通りに、前年度比をみれば2.5%増とFRBが描く3.0%増には程遠い結果となっていることも考えられます。

つまり、足元のインフレが顕著に出ているなら、今後の追加利上げは妥当性が伺える。このまま追加利上げを行うにはインフレ兆候が見られなければ、好調な米景気もブレーキが掛かりだすことは言うまでもないことです。

追加利上げ継続 → 米景気好調 → 米株高 → リスクオン → ドル円上昇


■上記は、昨年の大統領選以降の市場の流れを示しています。
根底にあるのは、米国の追加利上げなのです。その追加利上げが足踏み状態になるようであれば、

追加利上げ見送り → 米景気調整 → 米株調整 → リスクオフ → ドル円下落

といった逆転現象になります。


■今月のFOMCの利上げはほぼ確実であるもの、その後の見通しは、やはりインフレ見通しがない追加利上げには、必要性に疑問が出始めるのではないかとみています。その意味では、今後の要人発言には注意が必要です。



■ドル円チャートは5月初旬の上昇期間が短期であった&月足も陰線転換に

ドル円をみる上で、やはりドルインデックスは見ておきたいです。ドルインデックスは、年明けからダウントレンド継続、しかもチャートでは綺麗な下降チャネルを描いています。既に5月23日安値の96.70を割り込んだことによって、昨年の大統領選のときの安値95.91を視野が入りだしました。


一方、ドル円も同様に年明けから綺麗にダウントレンドが継続されています。しかし、4月中旬から5月中旬にかけての上昇、高値では114をつける場面もありました。日足チャートで今年1月3日の高値と3月10日の高値を結んだラインと平行にチャネルラインを引けば、5月の高値は「ダマシ」であったことが良くわかります。

先週末の高値もそのチャネルが上値抵抗にもなっているのがわかります。
しかも先週末のローソク足は上髭大陰線と後味が悪すぎます。


■今週は、200日移動平均線(2日現在:110.21円)や大台である110円が下値抵抗となっていること、また、月足ベースの平均足改良版もそれまで「陽線」だったものが、「陰線」に転換しているため過度の安値拾いには注意が必要です。

いずれにしても、今後の米景気に関する指標やロシアゲート問題、北朝鮮問題とリスクオフの材料が目白押しの今、チャートを今一度見直すがある時期だと思っています。
平野朋之
株式会社トレードタイム代表取締役
配信元: 達人の予想