テクニカルとファンダメンタルズの両面からの今週の見通し  トレードタイム

著者:平野朋之
投稿:2017/05/01 11:35

ファンダメンタルズは、未だ上値の重さが意識されやすい

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■はじめに先週までのレビュー

先週に行われたフラン大統領選での結果、マクロン氏とルペン氏両候補が決選投票に進んだとこで、政治リスクへの警戒感は大きく後退しました。
更に、北朝鮮の朝鮮人民軍創建85周年でも核実験が行われなかったことで、懸念されていた地政学リスクも併せて後退しました。
そのことで安全資産として買われていた円が売られ、クロス円でも上昇が目立った一週間でした。ドル円は、109.60円から111.77円まで上昇し、約4週間ぶりの高値に接近しました。


■テクニカルとファンダメンタルズの両方の側面からの今週の見通し

先週月曜日にギャップアップでスタートし、一時ほぼ窓を埋める手前まで下落したものの現状では、窓が埋まっていない状況です。
先週の安値を下回らない限り、111円が大きな節目となり、この水準では買いも入ってきそうです。
また、週間足ベースの平均足(改良版)は陰線継続のままですが、現在レートは、週足の実体部を超えていることから、現状のレベルを維持すると来週にも陽線転換の可能性があり、
今までの様に戻り待ちの売りから方向を変える必要もありそうです。


■しかし、重要なポイントは50日移動平均線が先週の上値抵抗になっているということです。
今週もこの50日移動平均線(28日現在:111.74円)が上値抵抗になるので注目していますが、ここを超えてこないと引き続き「戻り売り」継続のままである可能性もあります。

その際、下値のポイントは、200日移動平均線や先月17日安値(108.12円)が意識されやすいので注目したいです。


■ファンダメンタルズは、未だ上値の重さが意識されやすい
引き続き地政学リスクの継続で「何が起こるか分からない」状況下では、市場は思い切って買いに傾きにくいとみています。

1:地政学リスク継続でドルの上値が重い
今週も先週同様に、朝鮮半島リスクが意識されやすいとみています。29日朝方に弾道ミサイルを発射し、結果的に失敗に終わったものの、国連安保理決議違反であることは明白で、その前日の行われた閣僚級会合をけん制する格好となっています。
また、米韓合同軍事演習が終了する先月30日から5月9日までの期間に、軍事行動がとられる可能性は否定できないとみています。それ故にリスク選好は抑制されやすいとみています。

2:トランプ政策期待が剥落
先月28日にトランプ米政権が税制改革案を発表しました。約30年ぶりの法人減税となり、更に所得税や相続税も大幅に変更しました。しかし、その財源確保は経済成長と雇用確保によるもので、この戦略が頼りないことも、ドル円相場を見れば一目瞭然です。というのも既に米債務上限問題の先送りも重なり、米議会が難航するようであれば、連邦政府機関は閉鎖される可能性が高まっているので、その意味でも米ドルが重いとみています。


■急激に円高に傾くほど、神経質な状況からは解放されていますが、GWは参加者も減ることから、売買数量には注意が必要な週になりそうです。
平野朋之
株式会社トレードタイム代表取締役
配信元: 達人の予想