積み上がった“円買いポジション”は、まだ残っている…!?

著者:武市佳史
投稿:2017/04/27 10:52

◆「噂で買って、事実で売る」 - 上値模索後、反落

※ご注意:予想期間は4月28日と表示されていますが、本日(4月27日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。


まさに「噂で買って、事実で売る」の動きでした。

“買い戻し主体”から堅調推移を続ける中、「(本日発表の税制改革案は)史上最大の減税規模(ムニューシン米財務長官)」発言をキッカケにドル円は大きく跳ね上がりました。
さらに「税制改革案は80%を下院共和党は合意(ライアン米下院議長)」発言も加わり、米10年国債利回りが2.35%台へと上昇するにつれて、111.78円水準へと買い進まれました。

もっとも「法人税率35%⇒15%」「課税区分の簡素化(3分割)」等は盛り込まれたものの、「国境税」に関しては“踏み込んだ”内容が見られませんでした。
また「国外留保の企業利益還流策(本国投資法第2弾?)」も依然として“不透明感が漂う”内容であるなど、新味に欠きました。
NYダウは反落、米10年国債利回りも2.30%へと再低下する中で、ドル円は110.87円水準へと押し戻されています。
ただし111円割れでは“ドル買いニーズ”も根強く、大きく崩れるには至りませんでした。

◆ただ“大きく崩れて”はいない…

“材料出尽くし”とはいわないまでも、“さらなる押し上げ要因”になることはなかったといえます。
しかし“利益確定売り”は目立ったものの、“大きく崩れる”こともありませんでした。
これは一部で囁かれる「円買いポジションの巻き戻しはすでに終了」との見方が“誤っている可能性”を示すものであり、それでいて“スピード超過は調整”された格好といえます。

◆“マーケットの歪み”は依然として懸念だが…?

日銀金融政策決定会合&ECB理事会は“無風通過”が想定されており、払拭されたわけではないものの“北朝鮮情勢は落ち着いて”います。
テクニカル的には“50日移動平均線”と重なる“3/10~4/17の50%戻し(111.812円)”で押さえ込まれた格好ですが、“今回の上昇《4/21~4/25》の38.2%押し(110.670円)”はまだ割り込んでおりません。
“マーケットの歪み”は懸念として残りますが、昨日のドルインデックスを見る限り“幾分解消”された印象もあります。

前記水準を割り込むと状況も変わって来るのでしょうが、それまでは“上値が重く”とも“戻り売りではなく押し目買い”で臨みたいところです。
「200日移動平均線を跨ぐ往来相場」から上放れた流れというのは、まだ変わっていないのですから…。

◆ドル円 抵抗・支持ライン

上値5:112.153(16/12/15~17/4/17の38.2%戻し、ピボット2ndレジスタンス)
上値4:112.000(大台、20月移動平均線)
上値3:111.812(3/10~4/17の50%戻し、4/26高値、50日移動平均線、週足・一目均衡表転換線)
上値2:111.564(ピボット1stレジスタンス)
上値1:111.314(週足・一目均衡表先行スパン上限)
前営業日終値:111.000
下値1:110.860(4/26安値)
下値2:110.670(4/21~4/26の38.2%押し、ピボット1stサポート)
下値3:110.393(200週移動平均線、4/21~4/26の50%押し、4/17~4/26の38.2%押し)
下値4:110.296(ピボット2ndサポート)
下値5:110.166(日足・一目均衡表基準線)

※ユーロ円やユーロドルなど、他の通貨ペアの抵抗・支持ラインは〔マーケット・チェック15分Webセミナー〕にて公開。

11:50 ドル円 抵抗・支持ライン追加
武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想