注目の2.28トランプ大統領施政方針演説!

著者:津田隆光
投稿:2017/02/24 19:19

イエレンFRB × トランプノミクス = オフセット?

日本時間23日未明に公表されたFOMC議事要旨の内容を総括してみると、「総論:タカ派、各論:ハト派」といったところでしょうか。

FRB(米連邦準備制度)とFOMC(連邦公開委員会)が連銀法により課されている2つの法的使命、いわゆる【デュアル・マンデート】は、「物価の安定」と「完全雇用(雇用の最大化)」となっており、現時点における達成度を測ってみると、総合的な客観的数字の上では及第点を取得していると捉えてよさそうです。

よって、イエレンFRB議長としては、出来るだけ早期に金融政策の正常化を図りたいと考えるのは至極当然で、FF金利の水準を経済状態に適した“巡航高度”に持って行きたいということは、金融政策の総責任者としてまさにその使命に則った仕事をしていると言えます。

しかしながら、2月14日に実施されたイエレンFRB議長による議会証言内容や、先述のFOMC議事録に共通するのは、「トランプ政権による経済政策の不透明感や不確実性」。

つまり、イエレンFRB議長やFRB高官の本音を意訳してみると、「我々(FRB)は、先のリーマンショック時に大きく落ち込んだ米経済を、あらゆる処方箋を使ってここまで立ち直らせた。特に雇用と物価に関しては、ほぼ仕事を完遂している。この期に及んで政府が余計な薬(劇薬?) を打たないでもらいたい。」という事なのかもしれません。

一方で、トランプ大統領としては、激しい選挙戦を通じて、現場において肌で感じた米経済の閉塞感・停滞感を出来るだけ早期に打破するため、また選挙戦を通じて自身を応援してくれた“忘れられた人々”、つまり白人中間層や製造業に携わる人々に対して返礼をする必要が。

そのための手段として、「減税」や「大型インフラ投資」等のカードがある訳ですが、マンデル・フレミングの法則に従うと、「減税」や「大型インフラ投資」を実施すると、結果的にはクラウディング・アウト効果による『株安』『ドル高』に帰結するという側面も見なければなりません。

つまり、トランプ大統領が行おうとする積極的な財政政策、いわゆる“トランプノミクス”は、理論上は彼の支持基盤である“忘れられた人々”にとって不利益となってしまう可能性もあり、また、FRBが行おうとしている金融政策の引き締めと同時タイミングで行った場合は、米経済にとってオフセット(相殺)となり得る可能性も。

その意味でも、来週28日(日本時間3月1日午前11時頃)に行われる、米上下両院合同本会議での演説内容とともに、その後の議会の動きからは目が離せそうにありません。

右上の図は、ポリシーミックスについての想定されるマトリックス表です。ご参考まで。
津田隆光
マネースクエア チーフマーケットアドバイザー
配信元: 達人の予想