驚異的な減税期待は続くのか

著者:川島寛貴
投稿:2017/02/20 00:37

原因不明の円高

先週後半は、「よく分からない円高」という声があちこちから聞かれました。

火曜日に、イエレンFRB議長がタカ派発言を行ったことで113円台半ばから急騰し、その後に発表された米国の消費者物価も小売りも良いものとなりました。

この勢いがあれば、強烈なレジスタンスである115円台半ばはともかく、115円には載せてきても良かったのですが、高値を付けた4時間後には1円の下落となっていました。

『いかにも上がりそうな材料』が出ても上がらない場合は、株式でも為替でも売りがセオリーです。

ですから、115円手前で相当の利食いが出たと考えると114円割れは自然です。

そして、よくよく考えればここ半年間のイエレンさんはタカ派気味ですので、発言前の水準に戻るのも不思議ではありません。

むしろ、買い需要が減って自然に下落したというところでしょうか。

しかし、そこより下はどうも納得がいきません。

木曜日の値動きを見ていても、114円をタッチした瞬間に売られてしまい、日付変更時にさらに下落。

こんなに買ってくる人がいないのか?
ここまで売り込めるのか?

という印象でした。

この下落は多くの識者も疑問だったようで、様々な人のコメントを見ていてもそれが分かりました。

NYが3連休を控えており、トランプ発言リスクを警戒、という解説もありましたが、「驚異的な減税策の発表」を前に、それは違うというのが私の見解です。

ただ、一つ言えることは、こういう『よく分からない下落』には逆らわずに素直に売っておくのが得策です。

そして、だいたい何か材料が出た時にピークを迎えて反転上昇するようになっています。

そういう時にシンプルに判断できるのが、値幅、時間、市場の3つです。

値幅

今回の下落幅は50銭ずつとそれほど強くなく、調整幅は約40銭。
つまり、40銭以上の上昇があれば、この下落が終わる可能性が示唆されたと判断します。

窓がほぼ開くことなく下落していますので、下落期間も短気だと判断できます。

時間

安値を更新してから、次に安値を更新するまでの時間です。
相場のリズムを読むといいましょうか。

安値を更新するのに時間がかかるようになる、または一定時間内に安値を更新していたにもかかわらず、この時間で安値を更新しなくなると、トレンドの終了と判断します。

今回は、16日~17日にかけては9時間前後で安値を更新しておりますが、113.08円の安値の更新には14時間を要しています。

これは、トレンドの終了を示唆しています。

市場

これは、東京・欧州・NYのどの市場で大きく相場が動いたか判断するものです。
例えば、毎日NY市場でドル買いが出ていたにもかかわらず、ある日にドルが買われなくなると、トレンドの終了だと判断できます。

今回は、2/16のNY、東京、欧州で安値を更新し、17日でもNYでさらに安値を更新しました。
しかし、東京時間では動意なし。

そして、欧州市場でクロス円に売りが出て一気に安値を更新したという流れになっています。

ここでは非常に分かり易く、NYフィキシング(冬時間1時)と欧州株式市場の入り時間(17時)が動いています。

17日のNY時間は値動きが乏しかったことから、月曜日の欧州時間で売られることがなければ、一旦トレンドの終了だと判断できます。

これら3つの判断指標は、非常に便利に使え、掛け合わせることで精度が高くなります。

あまりFXの教書本のようなものに書かれておりませんが、シンプルかつ簡単ですので、ぜひ実践してみてください。


最後に、もうひとつ『3段下げ』という判断材料を付け加えてみましょう。

相場はトリプルトップ、3段上げ、など3がつくことが多く発生します。

今回のチャートをみると、既に3段下げが完了しています。

これを見ると、112.60円でいったん相場が下げ止まり、高値から2円40銭の3分の1程度の戻りである113.40円程度までは上昇意欲があるのでは?と判断できます。

さて、日経平均株価が19000円割れとなるかどうか絶妙な状況のなか明日はどうなるでしょうか。

トランプ大統領の減税期待がどこまで相場を支えるのか、またこれだけ期待させておいてどのような内容が出てくるのか。。

世界中から注目が集まります。
川島寛貴
株式会社IEYASU 代表取締役
配信元: 達人の予想