市場は「円買い」に敏感・・・、警戒感が台頭する中での戦略とは? トレードタイム

著者:平野朋之
投稿:2017/01/30 11:17

■現状は「下窓」をあけたままで推移

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■本日のドル円は、週末の米国への入国規制での混乱が「円買い」を連想させ、「下窓」を開けてスタートしました。

■今週は、日銀の金融政策決定会合やFOMCとイベントが待ち構えているので、神経質な展開が予想されます。


■その中で、今週のドル円はトランプ大統領の保護主義政策の観点からドル安に傾く動きを想定しています。

先週のトランプ大統領の動きや発言、署名を見る限り、どれをとっても保護主義カラーが目立ちます。
メキシコや中国への高関税率には驚きです。というのも世界にはWTOがあり、その枠組みの中で貿易が行われていますが、今回のある一定の国だけの高関税率はこのWTOに抵触する恐れがあります。

トランプ大統領にそんなWTOなんか関係ないなんていう感じはあります・・・。
しかし、WTOを無視するような事態となれば、世界的にはマイナス成長になる恐れもあり、更にはリスク回避の展開になりそうです。


■また、メキシコや中国だけでなく、日本の自動車産業にも警戒しています。対日貿易赤字、特に日本車の対米輸出に関して苦言しており、更に先月の対米貿易黒字が目立ち始めてきているので、日本円に対して何らかのプレッシャーをかけてくる恐れはありそうです。

貿易不均衡是正のためのドル安政策を打ち出してくる可能性が高いのでその意味では、大きな値崩れには警戒したいです。



■今週は、FOMCや雇用統計といったイベントもあります。

3月追加利上げに向けた土台作りができるのかが焦点になりそうです。FOMCでは、前回のイエレン議長のタカ派的な発言をきっかけにドル買いが散見されました。しかし、トランプ政権の行方がわからない限り、先行して利上げするのもやや無理があるのではないかとみています。

■最後にドル円のテクニカルについてです。

まず、ドルインデックスでは、先々週、移動平均50日線を割り込み、更に先週、中期目線で重要な75日線を割り込みました。
そして今週はこの75日線(100.52)を引け値ベースで大きく上回れるかに注目したいです。


ドル円は、50日線が週末現在で114.96円となっているのですが、これを今週大きく上回れるのかが重要になりそうです。

今週のレンジは、117.00-111.50とワイドに設定したいと思います。
平野朋之
株式会社トレードタイム代表取締役
配信元: 達人の予想