米株高、原油も高値キープの中でも上値を抑えられたドル円 その要因とは? トレードタイム

著者:平野朋之
投稿:2017/01/26 11:27

■いつドル高けん制発言がでてきてもおかしくない展開続く


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■昨日は、トランプ政権の保護主義政策が強まる懸念からドル売りが先行し一時、113円前半まで下げる展開となりました。しかし、NYタイムに入ると、NYダウが史上初めて2万ドルを突破したことをきっかけに、ドルが急反したものの、その後は、貿易摩擦が激化する可能性から再び売られる展開となりました。


■さて、NYの株式市場はついに大台達成となり、ご祝儀ムードが強い中、新政権に対する不透明感も否めない展開となっています。
それが、現在のドル円が象徴しているようにみえます。株高についていけなくなったドル円の行く先がどこに向かっているのか?
「不透明」というキーワードが台頭し始め、リスク選好に傾きづらくなっていることは確かです。


■しかしながら、昨年の原油安・株安の負の連鎖からの「リスク回避」とは全く逆の展開になっています。原油価格は50ドルをキープし安定し始め、世界の株式市場は活況に満ち溢れている状況です。
その意味では、現在のドル円相場の「持ち合い相場」は、今の世界経済を表現しているようにみえます。


■今後警戒しなければいけないのは、貿易不均衡是正圧力が日増しに強くなる可能性があることです。
既にメキシコとの国境に壁を作ることに署名し、対中国に対しても為替操作国に認定し始めています。
となるとわが国の自動車産業も対米貿易に関しては大幅な黒字からみると、必ずといっていいほど名指しで圧力をかけてくる可能性が高いとみています。そうなれば、ドル安円買いが急速に進行する可能性もありそうです。


■そんな保護主義を強める中、ドルインデックスもじりじり下落してきています。
今年はじめに直近高値103.81をつけてから、右肩下がりの展開で、現在では大台割れの99.91となっています。中期抵抗線としてみられてきた移動平均75日線(100.45)もあっさりブレイクダウンし、昨日はこのラインが上値抵抗となりました。

その意味では、ドル円にも戻り売り圧力がかかりそうです。



■ドル円も「目先持ち合い」となっています。

はやり112.50円です。これを終値ベースで下抜けると次の抵抗はいよいよ移動平均75日線(26日現在:111.74円)がみえてきます。

少なくてもIMM日本円のポジションが未だ7万7,000枚もの円売りに傾いているだけに、投売りもあるので注意したいです。


■現在はトランプノミクスを期待するものの、史上最悪の不支持で船出となったトランプ政権は、この不支持を減らすために米国民にとって有利な様々な交渉や署名をしてくると思われます。その意味では当初のとおり今後は「トランプリスク」にも目を向ける必要がありそうです。
平野朋之
株式会社トレードタイム代表取締役
配信元: 達人の予想