分水嶺まであとわずか - ここからの下値模索は“よりリスクが大きい”…!?

著者:武市佳史
投稿:2017/01/18 11:13

◆“フラッシュクラッシュ”は回避も、ドル円下放れ…

※ご注意:予想期間は1月19日と表示されていますが、本日(1月18日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。


注目のメイ英首相演説は、報道されていた通り「EU単一市場から撤退」を表明しました。
しかし「ブレグジット最終案は英上下両院で採決」と宣言するなど、懸念されたほど強硬スタンスではありませんでした。
“フラッシュクラッシュ”に至ることはなく、“材料出尽くし感の台頭”は逆に“リスク回避姿勢後退”を促し、ポンド円は大きく反発しました。

…と、ここまではある程度想定通りだったものの、肝心のドル円は装丁したようには動きませんでした。

日経平均続落に伴って114円の揉みあいを下放れると、仕掛け的な動きにも引っ張られて欧州タイム中盤には112.73円へと売り込まれていきました。
前記“リスク回避の巻き戻し”にて一旦は113.60円水準へと押し戻されたものの、再び112.60円水準へと突き落とされ、そのまま昨日の取引を終えています。

◆気が付けば“分水嶺”まであとわずか、しかし“リスク回避”は後退…

気が付けば“分水嶺(11/9~12/15の38.2%押し:111.986円)”まで“あとわずか”…。
割り込むと“110円の大台割れ(同50%押し:109.924円)”をも見えてきかねないだけに、“見誤った”といわざるを得ないところです。

それでも“米10年債利回り低下(昨日は一時2.30%台)”“NYダウの上昇息切れ(同58ドル安)”は、現時点においても“トランプ米大統領就任式に向けたポジション調整”と考えます。
“ドル高けん制”への思惑も根強いものがありますが、就任演説で通商問題に触れる可能性は“限りなく低い”とも考えます。
それでいて“もう一つのけん引役(ハードブレグジット⇒リスク回避)”は後退しました。

“見誤った”直後ですので“目先は様子見”とせざるを得ませんが…、
また“50日移動平均線(本日は114.090円)”を明確に割り込んでいるなど“上値の重さ”も否めませんが…、
ここからのさらなる下値模索は“よりリスクが大きい”と考えたいところです。

◆ドル円 抵抗・支持ライン

上値5:114.032(1/13~1/17の50%戻し、50日移動平均線、大台)
上値4:113.699(1/13~1/17の38.2%戻し、ピボット1stレジスタンス)
上値3:113.581(1/17NYタイム高値)
上値2:113.193(1/17NYタイム高値後の61.8%戻し)
上値1:113.074(1/17NYタイム高値後の50%戻し、大台)
前営業日終値:112.630
下値1:112.078(ピボット1stサポート)
下値2:111.986(11/9~12/15の38.2%押し、11/30安値、週足・一目均衡表先行スパン上限、大台)
下値3:111.628(11/29安値)
下値4:111.564(日足・一目均衡表先行スパン上限、ピボット2ndサポート)
下値5:111.351(11/28安値)

※ユーロ円やユーロドルなど、他の通貨ペアの抵抗・支持ラインは〔マーケット・チェック15分Webセミナー〕にて公開。

11:36 ドル円 抵抗・支持ライン追加
武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想