“フラッシュクラッシュ”には要警戒も、やはり“過度な懸念は必要なし”…!?

著者:武市佳史
投稿:2017/01/17 11:08

◆方向感の定まらない動き継続…

※ご注意:予想期間は1月18日と表示されていますが、本日(1月17日)の東京・欧州・NY市場の値動きを想定した記述となります。


ポンド主導によるリスク回避姿勢の円買いは続いているものの、基本的に方向感の定まらない動きは続いています。
何度か114円を割り込む場面も見られましたが、大きなストップロスを絡めることはなく、すぐさま114円台へと押し戻されました。

◆“フラッシュクラッシュ(瞬間的な急落)”には要警戒 - メイ英首相講演

本日の注目は、何といってもメイ英首相の講演です。
観測報道にあった「EU単一市場からの撤退を表明」が実際に行われるようなことがあると、“事実上のハードブレグジット宣言⇒リスク回避⇒円買い”が蒸し返される可能性は否めないところです。
特に今週は“金融政策と経済見通しに関するイエレンFRB議長講演(18-19日)”“テーパリングへの思惑が燻るECB理事会(19日)”、そして“トランプ米大統領就任式(20日)”が控えています。
思惑主導の相場攪乱には“もってこい”のマーケット環境といえなくもなく、“フラッシュクラッシュ(瞬間的な急落)”には警戒が必要です。

◆ただドル円に最も影響を及ぼすのは“日米の実質金利差”

ただドル円動向に最も影響を及ぼすのは“日米の実質金利差”です。
調整的な動きにて米10年債利回りは低下する中、米インフレ率の上昇が“米実質金利低下⇒ドル調整安”を促してきた印象があります。
しかしながら昨日の本邦企業物価指数は大きく改善(-2.2%⇒-1.2%)しており、“インフレの改善幅は日本が上回っている”ことが明らかになっています。
長短金利操作付量的質的緩和の影響にて“本邦10年債利回りは低位”に抑え込まれていることを考えると、“実質金利低下は日本の方が大きい”ということになります。
ポジション調整を超えたドル売り・円買いは“抑制されやすい”と見るのが自然であり、113.60円から下方向には段階的に“実需絡みのドル買いオーダー”も分厚く積み上がっています。

“仕掛け的な円買い”ならびに“フラッシュクラッシュ”への警戒は引き続き必要ですが、やはり現状では“過度な懸念は必要なし”と考えたいところです。

◆ドル円 抵抗・支持ライン

上値5:115.243(1/11~1/16の50%戻し)
上値4:115.000(大台)
上値3:114.861(1/11~1/16の38.2%戻し、ピボット2ndレジスタンス)
上値2:114.746(1/13~1/16の61.8%戻し)
上値1:114.467(1/16高値、1/13~1/16の50%戻し、ピボット1stレジスタンス)
前営業日終値:114.179
下値1:113.964(50日移動平均線、大台)
下値2:113.768(20月移動平均線、ピボット1stサポート)
下値3:113.625(1/16安値)
下値4:113.248(ピボット2ndサポート)
下値5:113.120(12/8安値)

※ユーロ円やユーロドルなど、他の通貨ペアの抵抗・支持ラインは〔マーケット・チェック15分Webセミナー〕にて公開。

11:25 ドル円 抵抗・支持ライン追加
武市佳史
株式会社マネーパートナーズ チーフアナリスト
配信元: 達人の予想