単なる調整か?それとも新大統領誕生が迫るにつれ、リスク材料の表面化か?

著者:平野朋之
投稿:2016/12/20 11:23

■重要なポイントは日足の「実体部」を割れるかどうか(終値ベース)

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■昨日は、利益確定のドル売りが先行する展開となりました。NYタイムでは、トルコでロシア大使が銃撃されるとの報道からリスク回避的な円買いが入り、一時116円ミドルまで下落する場面がありました。
しかし、その後イエレン議長の講演で労働市場は過去10年間で最も力強いと口にしたことをきっかけに、117円台に戻して終了しました。


■さて、これまでトランプ新大統領の政策期待が先行で短期間に急上昇したドル円ですが、ここに来て足踏みが続いています。
クリスマス休暇を控えて持ち高調整という解釈が通常の見方のように感じます。来月20日に新大統領誕生が迫るにつれ、徐々にリスク材料が表面化し始めているようにも思えます。

週末の米中関係悪化懸念、昨日のトルコでロシア大使が射殺、ベルリンでテロと見られる事件とさまざま出てきています。このトランプラリーに水を差す材料が出ることは不思議ではないですが、市場参加者がかなり減って、流動性も低下しているので思わぬ乱高下もありうるので警戒はしておきたい印象です。


■そして、本日は日銀の金融政策決定会合ですが、予想では現状維持と見ています。特に大統領戦後に急激に円安に触れたことは、国内のインフレ事情も改善されつつあり、日銀にとっても追加緩和の必要性はなくなっています。その意味では金利差から必然的に円安にいくことが想定されるので、日本の長期国債の引き上げは見送る可能性が高いのではないかと見ています。

しかし、長期国債を積極的に買うことを継続するという意味においては、為替誘導と捉えられる可能性もあり、トランプ大統領の批判の対象になることも視野に入れておきたいです。


■最後に、本日のドル円です。

117円を割り込むようであれば、昨日安値や116円前半を一度、試しにくる可能性もあるので、しっかりと押し目を探りたい一日と考えています。

以下は、押し目待ちポイントです。

・昨日安値…116.53円
・12日高値…116.11円


■しかし、NYクローズで週足ベースの平均足(改良)を割り込むと、年末にかけて115円を目指すことも想定をしています。
平野朋之
株式会社トレードタイム代表取締役
配信元: 達人の予想