イベントリスクがあったとしても、リスク回避の円買いではなく「ドルヘッジ」の流れ  トレードタイム

著者:平野朋之
投稿:2016/12/01 11:58

■イベントリスク第一弾の次は、イタリアの国民投票


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■昨日は、注目されていたOPEC会合が開催され、約8年ぶりに減産合意しました。この合意を受けてリスク選好が加速し、大幅なドル買いにつながっています。
また、米経済指標も予想を上回る好調ぶりで、追加利上げに対するペースを速めるのではないかとの思惑もあり、プラス材料に作用しています。

■これで、直近のイベントリスク第一弾は減産合意の結果、無事通過しました。
残すのはイタリアの国民投票というわけですが、仮に憲法改正支持派が過半数に満たなかった場合、ユーロ崩壊リスクから、リスク回避につながる可能性もありますが、その前に懸念されていたドイツ銀行の株価が再び下落していることのほうが、金融市場に影響を与えるのではないかとみています。


■これまで、トランプ新大統領誕生で、来年以降の極度な財政出動によって、景気が刺激することを見込んだ先取り相場が、今の相場展開となっています。
ドルインデックスは2003年以来の高値水準になり、月間足ベースでは持ち合い離れになっており、このままいけば2002年の高値に向けて、ドル独歩高を突き進む可能性がありそうです。

つまり、現段階では米国経済が以前のような赤字経済から悪いインフレを想定するのではなく、経済の好循環を想定した良いインフレになり始めているようにみえます。
これは、ゴールド価格を見ればわかります。あの大統領選以降、ETF残高を含め下向きになり始めています。

上記のイベントリスクが仮にあったとしても、むしろリスク回避の円買いではなく、「ドルヘッジ」になるのではないかと見ています。
その意味では、世界の投資家が今、トランプ王国へ投資をし始めているのではないかともみています。


■最後に、ドル円のポイントです。

昨日の上昇で、チャート的には買い優勢は歴然としています。
多少の押しが入ったとしても、次のステップを踏むためのエネルギーとして消化すると見ています。

一様、115円という節目はあるものの、超えたときの上昇圧力のほうがより強くなると見ています。

以下は、抵抗ポイントです。

・100日週移動平均線…114.76円
・大きな節目…115.00円
・8月23日安値…116.16円
平野朋之
株式会社トレードタイム代表取締役
配信元: 達人の予想