現状のハイブリッシュのドル円、注意をすべき点とは?

著者:平野朋之
投稿:2016/11/21 11:22

■売買の目途は?


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■先週末は、複数のFRB高官から12月及びその後の追加利上げに関する前向きなコメントを背景にドル買い優勢の展開となりました。また、米長期金利の上昇も引き続きドル円の買いを支えています。


■先週を振り返ると400pips以上の上昇、大統領選後の安値から見れば1,000pips弱と急激な上昇は言うまでもなく想像を超える展開となりました。

先週も押し目を狙うどころか、どこで買っても利益がでる超ハイブリッシュであることは認めざるを得ないといった展開でした。

トレンドは完全にアップトレンドであることは明白なのですが、そのスピードが尋常じゃないレベルなだけに、毎日驚かされています。
今年のダウントレンドに対する戻り局面を観測してきましたが、それもあてにならない展開です・・・。


■現在は新トランプ大統領に対する期待感と金利差を狙った買いであることは間違いないです。
しかし、現在の急激な買いトレンドの中、頭の片隅に入れて置かないといけない点があります。
それは、大統領就任はまだ先の話で期待先行が行き過ぎであるということ、長期金利の急上昇はいずれ、個人消費を冷ますことになるので、その歪みには注意したいです。

更に、FRBもこれまで新興国に配慮した政策スタンスを貫いてきましたが、来年以降の不透明な財政政策を踏まえれば、自国優先の政策スタンスに切り替える必要があり、更なる舵取りの難しさがとられるところです。


■既にドルインデックスから見れば13年ぶりの高値になっており、価格上昇は2014年からカウントすれば、27.%以上も上昇しているので、その意味では既に十分引き締めをしているのではないかとみています。
もし来年以降その追加利上げのスピードを速めることになれば、自国経済以上に新興国経済がもっと深刻なダメージが出るとみています。


■いずれにしても来年はこれまで以上のソフトな市場環境ではなく、ハードな市場環境に変貌するとみています。というのも、ブレクジットの行方やユーロ不安、新興国経済ショックとタイトルを挙げればきりがないくらい不安だらけだからです。

その意味でもリスク管理は今年以上に厳しいものになるのではないかと思います。



■最後にドル円相場です。

今週は日米ともに祝日が挟み、更に米国の年末商戦前のブラックフライデーもあるので調整が入りやすいとみています。また、今年のダウントレンドに対する半値戻り(112.44円)や直近高値(今年5月30日高値、111.45円)が節目になるとみています。

トランプノミクスと言われ楽観的にドル円もみている向きが多いようですが、彼のイメージする政策は1980年代に作った双子の赤字をいずれ誕生させるものであり、どこかの時点でドル安誘導を「トランプ合意」といった形で要求させられるのではないかとみています。

平野朋之
株式会社トレードタイム代表取締役
配信元: 達人の予想